家康紀行(41)駿河湾を望む景勝地「日本平」
前号では世界遺産・富士山の構成遺産の一つで、日本三大松原の「三保の松原」について取り上げた。今週は、風光明媚(めいび)な松原を俯瞰できる景勝地・日本平(にほんだいら)を紹介したい。
日本平は静岡市清水区と駿河区の境に位置する景勝地。標高307㍍の丘陵地に位置し、国の名勝や県立自然公園に指定されている。眼下に三保の松原や清水港が広がり、駿河湾越しに富士山を望むことができる。
近年は「日本夜景遺産」に認定されるなど、自然が織りなす豊かな景観とそれらを阻害することのない人々の豊かな営みが美しい夜景として現れ、訪れる人を魅了する。
日本平はかつて、日本武尊(やまとたけるのみこと)が東征の際、この地に広がる草なぎの原で野火の難に遭い、敵方を平定した後、この山頂に登り四方を眺めたことから、日本平という名が付いたとされる。
丘陵の南側には、徳川家康が死去した際、家康の遺命により埋葬された「久能山(くのうさん)東照宮」が山腹にある久能山(標高216㍍)が隣接し、日本平の山頂と東照宮をロープウェイが結ぶ。日本平に車を止め、ロープウェイで東照宮を目指す観光客も多い。平成22年に本殿、石の間、拝殿が国宝に指定された久能山東照宮については、追ってこのコーナーで詳しく取り上げていきたい。
富士山をはるかに望む豊かな景勝地。静岡の旅の仕上げにぜひ訪れてみてほしい。 (次田尚弘/静岡市)