御坊の酒蔵が国登録文化財に 文化審が答申
国の文化審議会は、和歌山県御坊市薗の元造り酒屋「伊勢屋」の北蔵、南蔵の2件を新たに国登録有形文化財(建造物)にするよう、国史跡「熊野参詣道」紀伊路に王子跡など3カ所、同「広村堤防」(広川町広)に一部敷地を追加するよう文部科学大臣に答申した。これにより県内の国登録有形文化財(建造物)は74カ所214件となる。
伊勢屋は元禄年間(1688~1704)に創業し、昭和62年に廃業するまで営業を続けた。北蔵(205平方㍍)は明治前期ごろに建てられ、瓶詰めなどの作業場として使われた。大正期に移築、昭和前期ごろに増築されたと伝わる南蔵(386平方㍍)の1階は仕込み場で、2階は室(むろ)が構えられ、梁(はり)を縦横に組む小屋組は壮観。大規模な酒蔵は貴重で、御坊の酒造業の歴史を伝え歴史的景観に寄与している点が評価された。
国史跡の追加指定は、紀伊半島の西岸を通る紀伊路のうち「愛徳山王子跡北東参詣道」(御坊市)、「塩屋王子跡」(同)、「芳養王子跡」(田辺市)の3カ所で面積は約1万6900平方㍍。追加指定後の総面積は計140万2386平方㍍となる。
広村堤防は、中世に畠山氏が築き江戸時代に補修された石堤と、1854年に発生した安政の南海地震後、濱口梧陵が築いた土堤からなる。追加指定地は、石堤の守り神として15世紀ごろに畠山氏が勧請したと伝えられている恵比須神社の跡地で約1855平方㍍。