若冲の作品を西陣織で 24日まで和市民会館

江戸時代中期に活躍した画家・伊藤若冲の作品を西陣織で再現した作品の展覧会が24日まで、和歌山市民会館(伝法橋南ノ丁)で開かれ、繊細で優美な伝統工芸の技が来場者を魅了している。

着物の帯にとどまらない西陣織の魅力を知ってもらい、伝統技術を継承しようと、西陣美術織工房(京都市)が約3年かけて制作した。若冲の生誕300年と西陣織誕生550年を記念し、全国各地を巡回。来年末までに100会場での開催を予定している。

若冲の代表作「釈迦三尊像」の他、30幅の「動植綵絵(さいえ)」の掛け軸、升目描きで知られる「樹花鳥獣図屏風」を題材にしたびょうぶなど約60点が並ぶ。

軸の作品は縦糸約2700本と横糸約1万5000本で織り、髪の毛の半分ほどの細さの絹糸を15色使い繊細に仕上げている。

「群鶏図」「老松白鳳図」など、ダイナミックな構図と精緻で鮮やかな色彩を西陣織で表現。訪れた人は用意されたルーペで確認しながら「何と細かい」「見事ですね」などと熱心に見入っている。

同工房の吉田秀高常務(49)は「代表作30幅全てがそろって見られる貴重な機会。原画に忠実に、繊細で立体的に表現した伝統の西陣美術織をぜひご覧ください」と呼び掛けている。

無料。午前10時から午後5時(最終日は4時)まで。

立体的に織られた作品を楽しむ来場者

立体的に織られた作品を楽しむ来場者