特定外来生物「タイワンザル」県が根絶宣言

 国の特定外来生物に指定されているタイワンザルの駆除に取り組んできた和歌山県はこのほど、発生源と見られていた和歌山市南東部と海南市北東部にまたがる大池地域約27平方㌔で「群れを根絶した」と発表した。この5年間、新たなサルが確認されなかったことから判断した。

 長い尻尾が特徴のタイワンザルは、台湾原産の外来種。県ではニホンザルが有田川以南に生息するのみと考えられていたが、平成10年に日高川町でタイワンザルと、ニホンザルとの交雑種各1匹が見つかったことから県が調査。11年度に大池地域で約200匹を確認した。

 野生化したタイワンザルと在来種のニホンザルの交雑が紀伊半島全域に広がるのを防ごうと、県は「県サル保護管理計画」を策定。14年度から同地域で駆除に乗り出した。住民の協力も得て囲いわなを7基設置し、24年度までに366匹の捕獲に成功。24年4月にメス1匹を捕獲したのが最後となった。

 県によると、捕獲が始まった当初は動物愛護の観点から反対意見もあったという。だが17年にはタイワンザル、26年には交雑種も特定外来生物に指定され、15年の間に外来生物に対する認識は大きく変わった。県環境生活総務課自然環境室の横濵蔵人主査は「ニホンザルを守る生態系保護の観点で取り組んできた。生き物相手の駆除は根絶に至るまで長期に及ぶが、途中でやめたら失敗。ようやく一区切りついた」と話した。

長い尻尾が特徴のタイワンザル

長い尻尾が特徴のタイワンザル