家康紀行(52)環境省初の自然学校
前号では、世界文化遺産「富士山-信仰の対象と芸術の源泉」の構成資産の一部として、那智の滝と共に、日本三大名瀑に選ばれることがある富士宮市の白糸の滝を取り上げた。今週は白糸の滝のほど近くで富士山を拝め、豊かな自然を生かした環境省主導の体験プログラムが提供されている「田貫湖(たぬきこ)」を紹介したい。
田貫湖は富士山西麓の朝霧高原(富士箱根伊豆国立公園)に位置する。農業用水を確保するために沼地を拡張した東西約1㌔、南北0・5㌔に及ぶ人造湖。湖岸には宿泊施設やキャンプ場があり、湖の周囲を1周20分程度でサイクリングできる。野鳥やホタルの観賞地としても知られている。
豊かな自然を生かし、環境省は2000年に日本初となる国設の自然学校を開設。自然と人、人と人とのふれあいを重視し、遊びと学びが体験できる施設として好評で年間約10万人が訪れるという。
年間を通してさまざまなプログラムが提供され、幼児から参加できるクイズや実験を通して富士山の自然や生き物の魅力にふれられる30分程度のものや、富士山溶岩洞窟の探検や自然の素材を用いた小物作りなど多岐にわたる。季節や日替わりでメニューが変わり、事前にウェブサイトで確認できる。
自然学校は国設に限らず、民間やNPOなど多様な主体が各地で同様の体験を提供しており、それらは環境省が運営するサイトで検索できる。和歌山県内では十数個の団体が紹介されている。
寒さが厳しい毎日であるが、民間の気象予報会社による桜の開花予想が公表されるなど春が近づいている。自然とふれあう体験型の春の旅を検討してみては。
(次田尚弘/富士宮市)