阿弥陀寺本堂が重文に 国の文化審議会が答申

 国の文化財審議会は18日、和歌山県和歌山市鳴神の阿弥陀寺本堂(旧紀伊藩台徳院霊屋)を重要文化財(建造物)に指定するよう、文部科学大臣に答申した。徳川家によって造営された霊廟(れいびょう)の中でも、江戸時代初期に建てられた数少ない遺構であることが評価された。今回の指定により、県内の建造物の重要文化財(建造物)は国宝を含め83件となる。【写真は県教委提供】

 同寺は浄土宗の寺院。本堂は江戸初期の寛永10年(1633)、紀州徳川家の初代藩主・頼宣(よりのぶ)が、亡くなった兄の2代将軍・秀忠を弔うため、和歌山城下の大智寺(現吹上)内に創建。明治維新後に廃寺になったため、明治4年(1871)に現在の場所に移築され、昭和60年(1985)に県の文化財に指定されている。

 屋根は寄棟造、本瓦ぶき。内部は中央の三間四方を内陣、周囲一間通りを外陣とし、内陣の中央後ろ寄りに須弥壇(しゅみだん)を置く。軒下の組み物や向拝(こうはい)廻り、内外陣境の欄間(らんま)などには霊獣や植物の優れた彫刻が施され、華麗な絵画や極彩色の彩りなど、藩主が直接関係したため、第一級の建築物に仕上げられている。

 徳川将軍の霊廟にふさわしい、さまざまな装飾技術を用いて造られた質の高い建物で、江戸初期の数少ない遺構として高く評価された。

組み物にも細やかな装飾が施されている

組み物にも細やかな装飾が施されている