豪雨不明者の捜索に全力 県警援助隊が帰還

7月の西日本豪雨で甚大な被害が出た広島県呉市で行方不明者の捜索に当たった和歌山県警広域緊急援助隊が7日夕方、7日間の任務を終えて帰還した。

派遣されたのは近畿管区機動隊と県警機動隊の混成部隊で、28人で編成。7月31日から8月6日までの間、70代の女性1人の行方が分かっていない天応地区で活動。約2㍍の高さまで土砂で埋まったガレージや、土石流が発生したと思われる場所を中心に、県警でこのほど導入した重機を初めて現場に持ち込み、人力と併せて大量の土砂を撤去し、不明者を捜した。

和歌山市木ノ本の県警察学校で、隊員が帰県を報告。警備部警備課の的場克郎課長が「厳しい暑さ、過酷な環境のもとでの捜索活動、大変お疲れさまでした」とねぎらった。

同隊によると、被災地では連日35度を超える猛暑日。重機が入れない場所も多く、人力では思うように活動が進まない中、福岡県警と協力し、約80人体制で捜索に当たった。活動中には、上流で下水管が破裂。土砂に大腸菌が混じる恐れがあることから、感染対策にマスクを装着して活動したという。

橋本善文中隊長(39)は「1カ月たったが、大量の土砂に埋もれ、どこを捜索すればよいのか分からないほどひどい現場。山津波の怖さを痛感した。和歌山でもいつ自然災害が起こってもおかしくなく、出動の準備を整えておきたい」と気を引き締め、7月に岡山県真備町でも捜索に当たった船井尚小隊長(32)は「前回の生存者を救出するのとは違い、酷暑の中、短時間に集中して作業するなど、モチベーションを高めながら捜索した。不明者の女性は避難誘導中に流された可能性があると聞き、住民参加型の避難誘導訓練の重要性を感じた」と話していた。

土砂に埋もれた車両を撤去する隊員たち(県警提供)

土砂に埋もれた車両を撤去する隊員たち(県警提供)