塩津区防災会に大臣表彰 要支援者対策評価
和歌山県海南市下津町の塩津区防災会(東海義弘会長)が2018年の「防災功労者防災担当大臣表彰」を受賞した。防災の推進について顕著な貢献をした団体や個人に贈られるもので、同会が地域の要支援者を詳しく把握し、災害時の迅速な避難行動を実現する仕組みを構築している点などが評価された。
塩津区は江戸時代から漁業や廻船業で栄えた集落で、現在は約500人が暮らしている。同会は03年12月、自主防災組織として、自治会役員や漁業・水産加工組合、学校のPTAなど地域内の各団体が協力、参加して結成。住民の家族構成や緊急連絡先、健康状態などを記した「防災住民台帳」を作成し、女性役員を選任して炊き出し時の衛生面の整備を強化するなど、14年にわたり先進的な活動を続けている。
表彰式は9月、東京都の中央合同庁舎で行われ、同会からは塩津区長を務める谷所(たんじょ)渉さん(69)が出席し、小此木八郎防災担当大臣(当時)から表彰状を受け取った。ことしは全国で同会を含む13人と14団体が受賞した。
東海会長(77)は就任8年目。地区内各地に海抜表示板を設置し、井戸に手押しポンプを取り付けるなど、同会メンバーからの提案を積極的に実行し、防災体制の整備、充実に努めてきた。トランシーバーやヘルメットなど災害時の必需品を入れたリュックサックは、同会役員全員が所持している。
地域で行う訓練では、迅速な避難に加え、被災時の共同生活の運営や夜間の避難行動などを見据えた内容を盛り込んできた。過去の夜間訓練の際、全戸に配布したLEDの懐中電灯は、先日猛威をふるった台風21号による3日間の停電時に役立ち、「多くの住民に感謝された」と谷所さんは話す。
訓練のポイントについて東海会長は「防災拠点としている2カ所の寺へ逃げる訓練を繰り返し、逃げ切る行動が体に染み付くようにしている」と強調。受賞を受けて今後については、「世代交代と女性の幅広い活躍を心掛けていきたい」と力を込めている。