東晟良が2連覇 全日本女子フェンシング
第71回全日本フェンシング選手権大会は9日、東京グローブ座で各種目決勝が行われ、女子フルーレで和歌山県立和歌山北高校出身の東晟良(あずま・せら)選手(19)=日本体育大学1年=が2連覇を達成した。女子種目で史上初めて高校生優勝を果たした前大会から1年、東京五輪のメダルを見据える日本のエースが女王の座を死守。晟良選手は「2連覇はなかなか難しいと思っていたので、特別ですし、驚きでいっぱい。言葉に表せないほどうれしい」と語った。
晟良選手は、姉の莉央(りお)選手(20)=日本体育大学2年=と共に東京五輪での活躍が期待されている女子フェンサー。共に頂点を目指した莉央選手は昨年と同じくベスト16で惜しくも敗れ、その後は晟良選手の試合を応援し、決勝戦はセコンドとして間近で妹にアドバイスを送った。
晟良選手は、グループ別の総当り方式で行われた第1ラウンドを6戦全勝で通過。トーナメント方式の第2ラウンドも順調に勝ち上がり、連覇を懸けた舞台に駒を進めた。
決勝の相手は、10月のユース五輪を制し、大会最年少優勝を狙った上野優佳選手(17)=SEISA=。序盤は2―6とリードを許したが、「昔の自分なら、そのままペースをつかめずに駄目になっていたが、諦めずに平常心で戦えた」と振り返った通り、晟良選手はここから怒濤(どとう)の反撃に転じ、8連続ポイントを奪った。苦手だったディフェンスがさえ、相手の攻撃を防ぎながらリズムをつくり、最後は14―9で上野選手を退けた。
タイムアップの音が響くと笑顔で莉央選手に駆け寄り、歓喜の抱擁。「戦うとなると、ライバルですが、姉は自分のことをよく分かっているので、セコンドにいてくれて良かった」と感謝した。
今大会は、日本フェンシング協会の太田雄貴会長が推し進める競技のメジャー化計画により、史上初の劇場での決勝など、さまざまな演出がなされた。大型スクリーンには選手の心拍数が表示され、試合後半には晟良選手の心拍数は200近くまで上昇。見つめる観衆の興奮も最高潮となった。
自身の成長について晟良選手は、肉体面では「お尻の筋肉がついたことでアタックのスピードが速くなった」と語った一方、「技術面はもちろんだが、それよりも気持ちの面が成長している」と、強さを増した精神面にも胸を張った。
2020年東京五輪まで残り600日を切り、「個人と団体でメダルを取る」目標へ、また一歩近づいた。
女子フルーレではこの他、ロンドン・リオデジャネイロ五輪日本代表で和歌山北高出身の西岡詩穂選手(29)=警視庁=が3年連続の3位、和歌山北高2年の巾下栞奈選手(17)がベスト8に入り、県関係選手の活躍が目立った。