鏡や日前宮の歴史学ぶ 國學院大学が文化講座
國學院大學・大学院(東京都渋谷区)の同窓会組織・院友会和歌山県支部主催の公開文化講座が7日、和歌山市の県民文化会館で開かれ、同大文学部の青木豊教授(博物館学)が日本における鏡の歴史を解説し、日前神宮・國懸神宮(同市秋月)の紀俊崇禰宜が両神宮の歴史を紹介した。
県内の教育界や博物館界、神社界などで活躍中の卒業生や同大の人文科学分野の教員が毎年講演しており、今回が21回目。歴史好きの市民ら約100人が聴き入った。
橋本高校から同大に進み考古学を専攻した青木教授は、鏡が弥生時代に中国大陸から日本列島へ伝わった後、日本列島でも多くの鏡が作られるようになったことを紹介。室町時代後期になると柄の付いた柄鏡(えかがみ)が現われ、その後は鏡が化粧道具としても使われるようになったことを話した。
また、日本で鏡を付けたみこしやかぶとが見られることや古墳の中から鏡が発見されることもあることを挙げ、「ものを映し光を反射する鏡の特質からさまざまな信仰が生まれ、日本人は鏡に魔よけや守護の役割を期待していたのではないか」と強調した。
紀さんは日前神宮と國懸神宮がどちらも鏡を御神体としていることを紹介。約2600年前に創建され、約2000年前に浜の宮から現在の場所に移ったことを説明した。豊臣秀吉による紀州攻めで境内の建物が消失したことにもふれ、「特に宝物殿がなくなってしまったのは残念。残っていたら国宝や重要文化財になったかもしれない」と話した。
参加した有田川町の女性(65)は「神社で見掛ける鏡に邪悪なものをはらうという願いが込められていたと知り、とても興味深く感じました」と話していた。