酒井さんら5人に 本年度の県文化表彰決まる

本年度の和歌山県文化表彰の受賞者5人が決定し、文化の向上発展に特に顕著な業績を残した文化賞に湯浅町出身で京都府立医科大学大学院特任教授の酒井敏行さん(66)が選ばれた。表彰式は来年1月24日に県庁である。今回が56回目。文化功労賞には和歌山市出身の作曲家・石黒晶(さやか)さん(65)=大阪市=、東京都出身で国文学者の林雅彦さん(75)=千葉市=、和歌山市出身で経済学者の宮本勝浩さん(75)=泉南市=、文化奨励賞には和歌山市出身で画家の小柳裕(ゆたか)さん(42)=京都市=が選ばれた。

酒井さんは、耐久高校在学中に弟を骨肉腫で亡くしたことから医学の道を志した。京都府立医科大学に進み、ハーバード医科大学に留学。現在は京都府立医科大学創薬センター長を務めている。製薬企業と共同でがん分子標的薬「新規MEK阻害剤トラメチニブ」を発見。トラメチニブは、メラノーマ(悪性黒色腫)や甲状腺未分化がんにも効果が高いとして第一選択薬として使用されており、日本発の画期的新薬として国際的に高い評価を受けている。

石黒さんは神戸女学院大学名誉教授。「ハッシャバイ・ソングス」など多くの作品が出版やCDなどで発表されている他、「紀州うた拍子」「紀伊のこどものうた遊び」など和歌山にゆかりのある曲もある。

林さんは、明治大学名誉教授で絵解きや説話文学が専門。熊野への関心が強く、熊野信仰の全国各地への勧進につながった熊野比丘尼(くまのびくに)について多くの研究成果を発表した。

宮本さんは、大阪府立大学、関西大学名誉教授で国際経済学や経済効果の分析が専門。「阪神優勝の経済効果」「たま駅長の経済効果」などを発表し、経済学の魅力を広く社会に発信している。

小柳さんは成安造形大学、京都造形芸術大学の非常勤講師。2015年には県立近代美術館主催の「リアルのリアルのリアルの展」に出品。夜景をテーマにした作品を多く描いている。

左から酒井敏行さん、石黒晶さん、林雅彦さん、宮本勝浩さん、小柳裕さん

左から酒井敏行さん、石黒晶さん、林雅彦さん、宮本勝浩さん、小柳裕さん