IR事業者来秋決定へ 県が春に方針公表し公募
和歌山県は10日、和歌山マリーナシティ(和歌山市毛見)を予定地に進めているカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致について、来年春ごろまでに県の実施方針を公表し、運営主体の事業者を秋ごろに選定する見通しを明らかにした。開会中の12月県議会本会議で岩田弘彦議員(自民党)の一般質問に田嶋久嗣企画部長が答えた。
国は、IR誘致を目指す自治体が申請する区域整備計画の評価基準などを示す基本方針を、来年1月に正式決定する方針を示し、同計画の申請期間は2021年1月4日~7月30日としている。
田嶋部長の答弁によると、国の基本方針が決定されれば、県はIR構想を定めた実施方針を来年春ごろまでに公表し、事業者の公募を行い、秋ごろに決定する見込み。その後、事業者と共同で区域整備計画を作成し、県民からのパブリックコメント、予定地の和歌山市の同意などの手続きを経て、国が示す期間内に申請するとのスケジュールを示した。
岩田県議は、県とIR誘致を争う大阪府市が、国の基本方針の決定前に実施方針案を公表するなど、手続きを繰り上げて実施していることを挙げ、県の認識を質問した。
仁坂吉伸知事は、実施方針を先に公表しても、国の基本方針と矛盾があれば修正する必要が出るとし、国の定めたスケジュールに従って「最速の準備をしていけばよい」との考えを示した上で、「詰まるところ、どれだけ良い区域整備計画を作れるかということに尽きる。地域振興に大きく貢献し、国の観光立国政策に資するような、優れた計画の作成に全力を上げる」と意気込みを述べた。
この日は、IR事業者の評価を行う外部有識者による選定委員会についても、岩井弘次議員(公明党)が質問。田嶋部長は、県の事業者募集要項を公表する来年春ごろまでに構成委員を決定したいと答弁。IR事業の安定的・継続的な運営能力、観光や地域経済への効果、カジノ設置に伴う有害な影響を排除する取り組みなどについて評価できる専門家を選ぶ考えを示した。
12月県議会では、本年度一般会計補正予算案に、県がIR建設予定地のうち民間会社の所有分を購入するための「債務負担行為」として76億8601万円が盛り込まれている。
地価が流動的になるのを防ぎ、IR事業者が県から土地を直接購入できるようにすることが目的。可決されれば、IR整備区域に県が認定された場合に効力が発生する、条件付き売買契約の締結議案を、来年2月県議会に提出する。