対策協と交渉しない 県が芦原地区詐欺事件で

和歌山市発注事業の受注業者から地元協力金名目で現金をだまし取ったとして芦原地区連合自治会長が逮捕された詐欺事件を巡り、和歌山県は12日、市や県の職員が要望を聞く会合に出席してきた住民団体「芦原地区特別対策協議会」と、今後は交渉しない考えを明らかにした。市は11月22日、同協議会との関係を断ち切る方針をすでに発表しており、県と市が足並みをそろえた。

12月県議会本会議で奥村規子議員(共産党)の一般質問に県側が答弁した。

芦原地区では、生活環境などの諸問題解決に必要な施策を協議する目的で、県が1977年2月、市が79年10月に庁内組織として地区特別対策協議会を設け、同年11月には地元組織として地区内に同協議会(会長は連合自治会長)を設置。2002年に県と市の協議会は解散したが、地元協議会のみ存続し、事務局は公共施設である市立芦原文化会館に置かれ、市職員が事務に関わっていた他、年に2回程度、協議会からの要望などについて市、県との交渉が開かれてきた。

田嶋久嗣企画部長の答弁によると、市の依頼を受けて、要望分野の担当者ら県職員数人も市職員と共に交渉に出席し、回答や意見交換を行ってきたが、「今後は、市と協議会との関係の見直しを踏まえて、交渉は行わない」と述べた。

髙松諭県土整備部長は、芦原地区に関係する県発注工事(14~19年度)についての調査結果を説明。連合自治会長に不当な要求を受けたとの相談を業者から受けた事例はなく、連合自治会長の妻が経営するスナックのパーティー券の販売に関与するなど、市職員に見られた不適切な対応についても、県としてはなかったとした。

今回の事件を受け県は12日、県発注工事の受注業者が、施工を前提に自治会などに金品を提供することを認めないとし、違反した場合は工事成績評定で減点すると関係団体に通知した。

また、工事を始める際に自治会などに説明が必要な場合には、業者は同行させず、県職員のみで行うことも決めた。

特別対策協議会の事務局が置かれていた芦原文化会館

特別対策協議会の事務局が置かれていた芦原文化会館