紀州うめどり出荷停止 処理業者経営不振で
梅酢エキスの入った飼料で育った和歌山県産鶏肉「紀州うめどり」の処理を手掛ける有田川町の業者が経営不振に陥り、紀州うめどりを出荷できなくなっていることが県畜産課への取材で分かった。食肉産業でも注目され、和歌山の銘柄鶏として人気が高いだけに販売店からも不安の声が上がっている。
紀州うめどりは、梅を塩漬けにする際にできる梅酢を混ぜた餌で育てた鶏肉で、軟らかくて臭みがないなどの特長がある。同課によると、県内を中心に年間約150万羽が出荷されており、県産鶏肉の生産量の約半分を占めているという。2008年には食肉産業展「地鶏・銘柄鶏食味コンテスト」で最優秀賞を受けており、県の優良県産品「プレミア和歌山」にも推奨されている。「精肉店などから状況についての問い合わせがあり、『代替品を紹介してほしい』との声も寄せられているが生産量の関係からなかなか難しい」と話す。現在状況を調査しているという。
和歌山市内のある精肉店によると、12日を最後に入荷が止まっているといい、「お客さまから『うめどりが店頭に並んでいないけれど、どうしたの』という声が寄せられている。年末は鶏肉の需要が高まる時期。うめどりは人気なので入ってこないのはショックだが、どうしようもない」と話す。
同市で紀州うめどりを取り扱う焼き鳥店は「現在はまだ入ってきているが年明け以降は見通しが立っていない。残念だが、別の鶏に切り替える」と肩を落とす。
養鶏や鶏卵、食肉加工業者などでつくる「紀州うめどり・うめたまご協議会」は「県民の皆さんの間で認知も進んできたところなので今回の事態は本当に胸が痛い。どうにかうめどりを守りたい」と話している。