医師や患者に感染 済生会有田病院で検査急ぐ

和歌山県内の新型コロナウイルスの感染者は17日正午現在、5人となっている。50代の男性外科医と入院歴がある70代農業の男性の感染が確認されていた済生会有田病院(湯浅町)では15日、同僚の別の50代男性外科医とその50代の妻、入院患者の60代男性会社員(現在は転院)の3人が感染していることが新たに判明。仁坂吉伸知事は院内感染の可能性を認めており、病院関係者の中でも医師や看護師、入院患者らを優先的に検査を進めている。

2人目の男性医師は、4日から発熱や咳の症状があり、8日に一度熱が下がったが、10日に再び微熱があり、CT撮影で肺炎像を確認。14日に入院し、検体を調べていた。4、5、7、8、10日には出勤していた。

50代の妻は濃厚接触者の家族として検査を実施し、感染が分かった。

60代男性は1月28日に同院を受診し、最初に感染した男性医師の診察を受けていた。2日以降、発熱や全身の倦怠感、咳などを発症したため8日に入院し、感染した2人の外科医が勤務していた3階の病棟にいた。

70代男性が一時入院していたのも3階病棟で、入院前の1月28日には、同院で感染した2人とは別の医師の診察を受けていた。

感染した5人はいずれも直近の中国への渡航歴がなく、感染経路は不明だが、接点として3階病棟が共通しており、県は同病棟を中心に、病院関係者と入院患者の検査を優先的に進めている。16日までに医師19人、看護師27人、他の医療従事者1人、入院患者6人を検査し、44人が陰性、9人が結果待ちとなっている。

また、東2階病棟の患者1人に発熱があったため、念のため検査をしている。

最初に感染した男性医師は、その後のウイルス検査で2回続けて陰性となったため、16日に退院した。

50代女性の家族ら濃厚接触者3人は、無症状のため、健康状態を観察中。60代男性の濃厚接触者3人は検査中で、うち1人は肺炎像などの症状が出ている。

同院は外来診察を休止し、感染を心配する利用者を対象に「接触者外来」を設置しており、14~16日の3日間で78人が受診した。

県が14日に設置した専用電話相談窓口には、15日までの2日間で200件の相談が寄せられ、感染者の住所地を尋ねるなど回答できない内容も多いという。

仁坂知事は16日の記者会見で「誰が感染しているかという詮索はしないでほしい。湯浅町が(ウイルスに)汚染されているかのような『いじめ』も起きており、そんなことをしないよう報じてもらいたい」と要請。町のふるさと納税返礼品の受け取りを拒否するなどの風評被害が起き始めていることについて「ナンセンスで怒りを感じている」と述べた。

院内感染の可能性が出てきた済生会有田病院

院内感染の可能性が出てきた済生会有田病院