IRや城など巡り議論 和歌山市議会で代表質問

和歌山市議会2月定例会は3日、7会派による代表質問を行い、新型コロナウイルス感染症対策、カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致、和歌山城の耐震化などの課題を巡って議論が行われた。

【公明党議員団】
中尾友紀議員は、新型コロナウイルスへの市の対応の現状などを質問した。尾花正啓市長は、感染拡大防止と重症化予防のため、軽症者についても医師の判断があれば、全数のPCR検査を実施してきたと説明。市内について「現段階では市中感染に至っていない」との認識を示し、県や国と連携して、終息に向け必要な措置を迅速に進めていくとした。

【自民党市議団】
宇治田清治議員はIR誘致について、市の方針を質問。尾花市長は「実現すれば大きな経済波及効果や雇用が生み出されるなど、計り知れない可能性を持ち、市の飛躍的な発展につながる」と、改めて誘致推進の考えを述べた。カジノ施設を外国人専用とすることについては、他都市との誘致競争の激化、国や県のギャンブル依存症対策の充実などから「現実的ではなくなった」との見解を示した。

【政和クラブ】
松井紀博議員は、まちなか活性化について質問した。尾花市長は、市役所前広場と紀陽銀行旧和歌山中央支店敷地を活用した(仮称)城前広場と和歌山城ホール前広場を一体的な空間とし、統一的なデザインを検討していると説明。市道中橋線の南端区間を車両通行止めとし、一体的な空間に含めるとの松井議員の提案には、イベント時に社会実験として実施し、実現の可能性を検討するとした。

【共産党議員団】
中村朝人議員は、IR誘致に反対の立場から、誘致撤回の考えがないかなどを質問。尾花市長は「ギャンブル依存症について不安を抱いている市民もいるので、IRに関する正確な説明を行い、市民や議会に広く示し、合意形成に努める」と改めて誘致推進の立場を示した。秋元司衆院議員が逮捕されたIR汚職疑惑については「IR誘致の是非とこの問題とは別に考えるべき」と述べた。

【民主クラブ】
永野裕久議員は、就職氷河期世代の就労支援などを質問。尾花市長は、同世代はバブル崩壊後の時期と重なったために生じたものであり、「個人の問題としてではなく、社会全体で受け止め、対応していくべきもの」との認識を示し、2020年度に同世代を対象とした試験を行い、21年度の職員採用に向けて準備を進めているとした。

【和歌山興志クラブ】
浜田真輔議員は、耐震性能が不足している和歌山城天守閣の問題を質問。尾花市長は、文化庁と協議した結果、長期的には木造再建を目指しつつ、まずは耐震改修の検討を進めると説明。工法については、天守台の石垣の保護を前提に、外観に影響のない方法を考えるとし、早ければ21年度に耐震基本計画のための調査費の予算計上を目指すと答弁した。

【日本維新の会】
山野麻衣子議員は人口定着率の向上について質問。「和歌山=マリンスポーツ」を掲げた地域づくりの提案に対し尾花市長は、市が来年のワールドマスターズゲームズ2021関西のセーリングなどの開催地であり、絶好の機会だとし、「マリンスポーツ関係を市固有の魅力として広く周知し、認知度を高める」などと述べた。