和歌山弁落語を世界配信 桂枝曾丸さんの15作

あで~!おばちゃん世界進出やいて~――。和歌山県和歌山市の落語家・桂枝曾丸さん(51)が約20年にわたり取り組んでいる「和歌山弁落語」の傑作15演目が、音楽サイトで世界同時配信されている。県民におなじみ〝和歌山のおばちゃん〟の、かわいく、優しく、あつかましい笑いが国境を越えて広がる。枝曾丸さんは「『あでー』が国際基準になることを夢見ています」と話している。

枝曾丸さんの和歌山弁落語は、和歌山の人たちが使ってきた、各時代の生の和歌山弁を取り入れ、生活感たっぷりにおばちゃんが大活躍する。1999年から同市出身の漫画家・マエオカテツヤさんとの共作で手掛け、毎年の独演会「わかやま芸品館」などで発表している。

市民に愛される商店街を描いた「ぶらくり丁へいってくらっ」、老舗和菓子店にまつわる「饅頭可愛」など、CD5枚に収録の15演目が世界配信となった。

きっかけはラジオを通したつながり。枝曾丸さんは和歌山放送の「しそまるの全開!金曜日」にレギュラー出演し、全国のラジオが聞ける無料アプリ「radiko(ラジコ)」を通じて県外にもファンが広がり、他地域のラジオ局との関係も深まっている。

2019年7月、枝曾丸さんは広島市の中国放送ラジオのアナウンサーの呼び掛けで、西日本豪雨の災害復興イベントで和歌山弁落語を演じた。その会場に大手音楽会社の㈱ポニーキャニオンの営業担当者が居合わせ、枝曾丸さんの口演を気に入り、配信の話が持ち上がった。

和歌山弁落語の魅力は、地元の落語ファンのみならず、すでに多くの人が認めるところ。枝曾丸さんは当初、師匠である故・五代目桂文枝には内緒で手掛けていたが、ニュースでそれを知った師匠から絶賛され、大きな後押しとなった。

01年にアルゼンチン各地の日系人会などを回って行った落語会では、笑いながら泣く人たちを目の当たりにした。

枝曾丸さんは「海外でもどこでも聞いて楽しんでほしい。和歌山弁から和歌山の良さを知ってもらい、行ってみたいと思ってもらえたら」と話している。

配信は今月6日から順次スタートし、12日正午現在のアクセスランキングで、aiko、GLAYら人気アーティストと並び、トップ5入りしている。

主な配信サイトは、Apple Music▽iTunes Store▽Sootify▽レコチョク――など。

単曲400円、アルバムまとめ売り1050円。詳しくはポニーキャニオンのサイト

〝和歌山のおばちゃん〟の笑いが世界へ