新型コロナ、企業への影響拡大 東商リサーチ
新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第2回アンケート調査(2~8日)で、影響があると答えた和歌山県内企業は92・0%に達し、第1回調査(2月7~16日)時の69・0%を大きく上回り、影響が広がっていることが分かった。同社は、年度末が迫り、資金繰りが悪化する中小企業などへの迅速な対応が進まなければ、混乱が生じる恐れがあるとみている。
調査はインターネットで実施し、全国の有効回答は1万6327社、県内は88社だった。
県内の企業活動への影響は、「すでに影響が出ている」が47・7%で最も多く、「今後出る可能性がある」の44・3%と合わせて9割を超え、全国調査は94・6%に達した。
「すでに影響が出ている」と答えた企業に内容を聞くと(複数回答)、「売上が減少」が24社でトップ。「マスクや消毒液など衛生用品が確保できない」と「イベント、展示会の延期・中止」が各19社、「商談の延期・中止」が16社、「現地(中国)サプライヤーからの仕入れが困難に」が12社と続く。第1回調査時は、中国との取引密度が高い企業の影響が早く、大きかったが、今回は影響が多方面に広がっていることが分かる。
どんな影響がありそうか、との質問には、「従業員が感染、または濃厚接触者となる危惧(きぐ)」を挙げたのが25社と最も多く、事業所や店舗閉鎖につながるため、企業活動への影響は計り知れないと心配する回答が目立った。
懸念している内容は、「感染拡大」が71社、「サプライチェーンへの影響」が37社、「東京オリンピック・パラリンピックの中止」が26社、「現地拠点の営業休止や事業規模の縮小の長期化」が20社など。「不安はとくにない」と答えた企業はなかった。
感染拡大を防ぐため、在宅勤務やリモートワークを実施した企業は5社。臨時休校の影響については、マイナスの影響が23社、プラスの影響が3社、影響なしが58社だった。
同社は、政府の緊急対応策について、資金繰りが日ごとに悪化する中小企業には、従来にないスピードで対応しなければ、年度末が迫り、混乱が生じる可能性があると指摘。資金貸し付け中心の支援だけでは、感染拡大の終息が見通せないない状況の中、返済原資の確保が難しい中小企業には借り入れへの抵抗もあり、抜本対策とはなり得ないとしている。