県内で新たに4人感染 70代の男性開業医ら

和歌山県内で6日までに、新たに4人の新型コロナウイルスへの感染が確認された。5日に発表されたのは和歌山市在住で70代の開業医男性と、田辺保健所管内在住で50代の宗教関係者の男性。2人は入院中で共に病状は安定している。県内の累計感染者数は26人となった。

市によると、70代男性は同市松江西の中谷内科循環器科の院長。今月2日に37・8度の発熱があり、その後全身の倦怠感も出てきたため市内の医療機関を受診。4日にCT撮影をしたところ肺炎像が確認され、ウイルス検査の結果陽性が判明した。同医院は2日午後から休診している。男性は妻、息子と同居しており基礎疾患はない。市によると、直近はほとんど外出していなかったという。

5日午後に市役所で記者会見した尾花正啓市長は、人口10万人当たりの累計陽性者数や累計PCR検査数を示し、「大都市部での感染拡大が地方都市にも及んできている」と厳しい表情を見せ、「大都市部に外出される際は行動記録をとっていただきたい。大都市部での飲食や買い物は避け、可能なら市内など(住んでいる)地域内で飲食をしていただけたら」と呼び掛けた。

県によると、50代の男性は3月31日に38・9度の発熱やせきなどが現れ、4月4日に医療機関を受診。CT撮影で肺炎像が確認され、ウイルス検査の結果、陽性が判明した。3月26日に自家用車で京都市に出掛け、同市内で3件の会食に出席していたという。仁坂吉伸知事は5日夜に県庁で記者会見し、「京都で感染した可能性がかなり高いと思う」と述べた。

 

市内の感染状況を説明する尾花市長(5日、市役所で)

 

 

濃厚接触者2人も陽性 尾花市長 学校再開は慎重に判断

和歌山市は6日午後、70代男性医師の濃厚接触者として検査していた市内の60代の無職女性と40代の男性会社員の2人の感染が確認されたと発表した。

男性会社員は、男性医師に症状が出る前の3月29日に発熱し、今回の一連の感染者の最初ではないかと市は見ている。25日まで南海電鉄と近鉄で奈良県内に通勤し、26日以降は休暇を取っており、感染経路は不明。6日時点で症状はない。女性も無症状で、2人はいずれも6日に入院する予定。

市は、男性医師に発熱の症状が出た4月2日に接触した看護師や事務員、患者、出入り業者ら21人の検査を行い、1日に接触した20人の健康観察を行う。

記者会見した尾花正啓市長は、8日に予定されている市内の公立小中学校の再開について、最終判断は教育委員会が行うとした上で、「完全な形での開校は無理だと思っている」と述べ、再開する場合は時間短縮、登下校の分散などの対応を取るよう要請していると説明した。

現状は市内で感染がまん延しているわけではないとする一方、感染のリスクは今後さらに高まる可能性があり、その場合は2週間程度の休校や延期などの対応では済まないだろうとの認識を示し、学校再開の時期や在り方は慎重に考え、判断しなければならないと話した。

また、PCR検査を行う市衛生研究所や、対応に当たる市保健所の職員の勤務状況を問われ、「過重労働になってきている」とし、人員の補強などの対応が必要と述べた。