旧四箇郷保を交流拠点に 市と自治会が協定

3月31日で閉所した和歌山県和歌山市加納の旧市立四箇郷保育所が、地域交流拠点施設として活用されることになり、運営・維持管理を行う四箇郷地区連合自治会(有本太一会長)、同地区まちづくり協議会(同)と市は21日、市役所で基本協定を締結した。住民主体による公共施設の跡地利用として、まちづくりへの貢献が期待される。

四箇郷地区は4月1日現在、7299世帯、1万7128人が暮らす市内でも人口の多い地域だが、公共のコミュニティースペースとしては四箇郷連絡所の2階部分などわずかしかない。同協議会などで、地域住民の交流スペースが必要との意見が多く出たことを受け、閉所後の活用を住民主体で行うことを市に要望していた。

旧保育所は住宅街の中に立地し、1983年建築の鉄筋コンクリート造り2階建て、敷地面積1323平方㍍、延べ床面積600平方㍍の施設。5室のうち最も広い部屋をコミュニティースペースとして活用し、残りの部屋を店舗などに貸し出す民間活用部分とする予定。テナントの賃貸料はまちづくり活動費や維持管理費に充てる。

市は施設を無償貸与し、連合自治会が行う施設整備費用を一部補助する。現在は幼児用となっているトイレの改修などが必要となる。

民間活用部分は、飲食店やカフェ、英会話教室、介護関連施設など幅広い用途を想定している。5月11日に事業者向けの説明会と見学会を開き、6月に企画の受け付け、プレゼンテーションを実施し、7月には事業者を決定する予定。施設の改修を経て、来年春から夏ごろのオープンを目指す。

協定締結式は市長室で行われ、有本会長と尾花正啓市長が協定書に署名した。

尾花市長は「閉鎖後の保育所の活用になかなか良い案がなかったところに、地域が自ら活用方法を考えていただいた」と感謝。収益部門をつくって運営されること、子どもと高齢者が一緒に使える施設として活用されることなどが画期的だとたたえ、今後に期待を寄せた。

有本会長は「これまでは、地域に交流の場所が少なすぎた。一つ増えて非常にありがたい。地域の住民の皆さんと一緒に、四箇郷を盛り上げていける拠点にしていきたい」と話していた。

協定書を手にする尾花市長(中央)と有本会長(左隣)、四箇郷地区の皆さん

協定書を手にする尾花市長(中央)と有本会長(左隣)、四箇郷地区の皆さん