新型コロナの影響顕著 東商リサーチ調査

新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第5回アンケート調査(5月28日~6月9日)で、何らかの影響があると答えた和歌山県内企業は96・4%に達した。緊急事態宣言は解除されたものの、国が感染拡大防止策として求める「新しい生活様式」が業績にマイナスの影響を及ぼすと考える企業は44・9%に達し、同社は「生産性や業績維持の両立の難しさが浮き彫りになった」とみている。

調査はインターネットで実施し、全国の有効回答は1万8462社、県内は110社だった。

県内の企業活動への影響は、「すでに影響が出ている」が76・4%(前回75・2%)、「今後出る可能性がある」が20・0%(同21・7%)といずれも前回から横ばいで、合計すると、回答したほとんどの企業が影響を受けている。

産業別では、「すでに影響が出ている」との回答があった8業種全てで構成比が5割を超えた。「今後出る可能性がある」と答えた企業が多かったのは建設業(50%)で、現状は手持ちの工事があるものの、景気の影響が遅れる建設業界の特性から、今後は発注の保留が出る可能性があるとの見方がある。

前回調査で「今後出る可能性がある」が50%あった不動産業は、今回は回答した企業がなかったが、休業による家賃の減額など何らかの影響が出ているとみられている。

「すでに影響が出ている」と答えた企業に内容を聞くと(複数回答)、最多は前回に続き「売上(来店者)が減少」の60社(前回70社)で、「出張の中止、延期」が45社(同52社)で続く。

「どのような影響が出る可能性があるか」を聞くと(複数回答)、「売上(来店者)が減少」と「商談の自粛」が各10社で最多。次いで「出張の自粛」が9社、「サプライチェーンの混乱で材料などの仕入れに支障」が8社で、すでに出ている影響と今後予想される影響は同様の問題であることが現れている。

感染拡大防止のための在宅勤務、リモートワークの実施状況は、回答した109社のうち実施したのが35・7%(39社)にとどまり、全国の実施率56・4%、特に大企業の83・0%とは大きな開きがあった。

政府の支援策である「新型コロナウイルス感染症特別貸付」や「セーフティネット貸付・保証」の利用状況は、回答した102社のうちすでに利用した企業は24・5%(25社)で、前回の9・7%から14・8ポイントの増加。今後利用する可能性があるとした企業は32・3%(33社)で前回より14ポイント下がった。

5月の売上高について、前年同月以上の増収と答えた企業は26・0%で、全国調査の12・5%を上回ったが、前年割れは前回調査より1・4ポイント増え、74・0%となった。半減以下の企業は前回と同じ11社だった。

新型コロナの関連倒産が全国で増加する中、和歌山、福井、鳥取、高知の4県は16日時点でまだ発生していないが、影響の深刻度は日に日に増しており、予断は許されない。

6月以降に「ひと月でも売上高が50%以下に落ち込む可能性がある」と回答した企業は33・6%あり、経済活動の回復には時間を要するとみられる。

「どのような影響が出る可能性があるか」への回答

「どのような影響が出る可能性があるか」への回答