在宅・リモート勤務減 企業コロナ影響調査
新型コロナウイルスの企業活動への影響について、東京商工リサーチが行った第6回アンケート調査(6月29日~7月8日)で、何らかの影響があると答えた県内企業が100%となった。緊急事態宣言の解除後、在宅勤務・リモートワークの実施は減っており、長年続いた商習慣や勤務スタイルを変えることの難しさが浮き彫りとなっている。
調査はインターネットで実施し、全国の有効回答は1万4602社、県内は82社だった。
県内の企業活動への影響は、「すでに影響が出ている」が78・0%(前回76・4%)、「今後出る可能性がある」が22・0%(同20・0%)で、影響を受けていない企業はついにゼロとなった。
産業別では、「すでに影響が出ている」との回答があった7業種全てで構成比が5割を超えた。中でも製造業、運輸業、サービス業他は前回より構成比が増加し、いずれも8割を超えている。
「今後出る可能性がある」と答えた企業が多かったのは建設業(50%)で、現状は手持ちの工事があるが、景気の影響が遅れる建設業界の特性から、現時点よりも今後、発注の保留が出る可能性があるとの見方がある。
国が感染拡大防止策として求めている「新しい生活様式」について、業績にマイナスの影響を及ぼすと考える企業は44・44%、どちらともいえないが53・09%に上り、感染収束のめども立たない状況の中、先行きを図りかねている企業が多いとみられる。
感染拡大防止のための在宅勤務、リモートワークの実施状況は、回答した81社のうち、一度も実施していないのが59・26%(48社)、実施したが現在は取りやめているが23・46%(19社)。経済活動の再開に伴い勤務形態をコロナ禍前に戻す動きがある他、社内インフラや人員充足度などを背景に、感染防止対策としては広がりを欠き、不安を残す結果となっている。
6月の売上高について、前年同月以上の増収と答えた企業は10・53%(8社)にとどまり、前年割れは67・11%(51社)となった。
政府や自治体、金融機関の各種支援策を利用した企業は41・98%(34社)で、前回より17・47ポイント増加。今後利用する可能性があるとした企業は30・86%(25社)で前回より1・49ポイント下がった。
新型コロナの関連倒産が全国で増加する中、和歌山、鳥取、高知の3県では7月17日時点で発生していないが、影響の深刻度は日に日に増しており、予断は許されない。
7月以降は感染者が急増し、収束のめどが立たない状況であることから、同社は「コロナ禍初期の支援策の効果も薄れ、再度の資金ニーズが高まることが避けられない」との見方を示している。