行政相談つなぎ11年 岩尾さん総務大臣表彰
行政相談委員として長年尽力し、業績が他の模範と認められる人に対する2020年度表彰で、和歌山市担当委員の岩尾雅子さんが総務大臣表彰に選ばれ、13日に市役所で表彰式が行われた。
行政相談は、国の行政全般に対する苦情や意見・要望を受け付け、担当の機関とは異なる立場から必要なあっせんを行い、解決や実現の促進を図る制度。行政相談委員は民間の有識者から総務大臣が委嘱し、全国で約5000人、県内は61人が活動している。19年度に県内で受け付けた相談1837件のうち、委員の対応分は約半数の930件に上った。
岩尾さんは09年4月から現在まで、11年6カ月にわたり委員として活動。住民からのさまざまな分野の相談に応じてきた他、地元小学校で行政相談についての出前教室を行い、行政の仕事に対する子どもたちの関心を高め、地元のイベントでは行政相談制度の広報物品を配布するなど、制度の普及と利用拡大にも大きく貢献してきた。
岩尾さんの対応によって改善された最近の事例では、出前教室で受け付けた、同市中之島の紀の川河川敷の公園に時計を設置してほしいとの要望を実現している。相談を受けた岩尾さんと総務省和歌山行政監視行政相談センターが市役所に連絡し、市と公園を所管する国土交通省の協議により、公園に設置されている放流警報設備の電光板に時刻が表示されることになった。
表彰式では、尾花正啓市長が武田良太総務大臣名の表彰状を、同センターの新井芳隆所長が記念品を、それぞれ岩尾さんに手渡した。
尾花市長は、信号が切り替わる時間を長くしてほしいなど、子どもたちからの要望を実現させてきた岩尾さんの功績をたたえ、「生活に身近なところから相談を聞き、実績を積み上げていただいている」と感謝。岩尾さんは「子どもたちの目線から見てどうなのか、ということは大切。要望を聞かせていただく役割をしてきて、知らない間に11年もたちました」と話していた。