県経済に持ち直しの動き 財務事務所判断

和歌山財務事務所は、2020年10月判断の和歌山県内経済情勢報告を発表。総括判断は「新型コロナウイルス感染症の影響により、厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる」とし、7月判断に続き2期連続で上方修正した。

情勢報告は、個人消費や設備投資など9項目の基調判断を総合して総括判断を行っている。今回は主要3項目のうち雇用情勢は横ばいだったが、個人消費と生産活動は上方修正となり、総括判断につながった。

個人消費は、新型コロナの影響でコンビニエンスストアは来店客数が減少しているものの、冷凍食品のまとめ買いなどで客単価は上昇。ドラッグストアは冷凍食品、パスタなどの「巣ごもり」関連商品が引き続き好調で、家電大型専門店でも在宅勤務関連商品、調理家電などが好調だった。

生産活動は、機械工業で、新型コロナの影響による世界的な需要の減少により汎用機械や生産用機械の生産量が減少。鉄鋼業でも、世界的な経済活動の停滞により、エネルギー関連製品の生産量が落ち込むなど弱さがみられる。

一方、化学工業ではハンドソープなど家庭用向け製品の生産が引き続き堅調となっており、鉄鋼業でも自動車関連製品の需要が持ち直しつつあるなど、全体で下げ止まりの動きがみられる。

雇用情勢は、有効求人倍率が低下していることに加え、雇用の先行指標といわれる新規求人数が8月に増加に転じたものの、増加率は低くなっている。

企業からは、「巣ごもり生活によりスマホやパソコンの需要が高まっていることに加え、スマホのモデルチェンジによる需要増加もあり、好調」(電子部品製造業)、「大手企業の採用抑制の影響からか、人材派遣会社からの中途採用人材の紹介数が増加している」(電気機械製造業)、「減収減益のため現状では設備投資はできない。来年も控えることになっており、再来年ごろから実施する見込み」(百貨店・スーパー)などの声があった。

先行きについて和歌山財務事務所は、新型コロナの影響が続く中、国や県などの各種政策の効果もあって持ち直しに向かうことが期待されるとする一方、「国内外の感染症の動向や金融資本市場の変動などの影響についても注視する必要がある」としている。