「克己心」胸に活躍誓う 小林が広島と仮契約
プロ野球ドラフト会議で広島東洋カープから4巡目指名を受けた智弁和歌山高校の小林樹斗投手が16日、和歌山県和歌山市七番丁のモンティグレ(ダイワロイネットホテル和歌山)で入団交渉に臨み、契約金4000万円、年俸500万円(いずれも推定)で仮契約した。色紙に「克己心」としたため、「プロで活躍するイメージを持って練習し、もっとレベルアップしたい」とさらなる成長を誓った。
小林投手は182㌢、86㌔のバランスの取れた体格から最速152㌔の直球を投げ込む本格派右腕。本人によると、握力は右手62㌔、左手58㌔で背筋力は約200㌔という。この日は父・英樹さん、母・由起子さんと共に入団交渉に臨んだ。
小さい頃から英樹さんと共に甲子園球場、阪神鳴尾浜球場を訪れて阪神タイガースの試合を観戦してきた。甲子園球場の右翼席で観戦することが多く、藤川球児(今季限りで引退)に憧れていたことを明かし、「すごく偉大な選手。直球で空振りを取れるところが好き」と目を輝かせた。
藤川の投球フォームを映像で繰り返し研究してきたといい、「年間を通じて同じ打者と何度も対戦する中で、左足の上げ方やグラブの位置などを工夫していた。打者との駆け引きの大切さを学んだ」と話した。
高校入学後について「1年生の頃は妥協してしまう部分があった」と振り返り、「克己心」を持つよう心掛けてきたと強調。「プロでは今まで以上にストライクゾーンが狭くなると思う。まだまだ制球の精度が足りない」と口にした。今夏の県独自大会や甲子園交流試合では外角の直球で空振りを奪う場面も多く見られたが、「外角一本だけではプロの強打者を抑えられない」と話し、内角への投球を磨く考えを示した。
鞘師(さやし)智也スカウトは小林投手の印象を「良い選手なのは間違いない。智弁和歌山で鍛えられており、体もそれなりにできている。2年生の時は気性の荒さがマウンド上で出ることもあったが監督さんの指導をしっかり受け止めて成長した」と語り、今夏の大会で試合の途中から登板し好投したことにふれ、「リリーフは高校生には難しいと思うが、すっと(試合に)入っていた。試合の入り方が上手。先発でもリリーフでも戦力になると思う」と高く評価した。
野球好きの英樹さんは小林投手が小さい頃に親子でよくキャッチボールをするなど、野球に打ち込む小林投手を応援してきた。広島カープの印象を「地域に愛されているチーム」と語り、「一人でも多くの人に名前を覚えていただけたら」と活躍に期待を寄せていた。