小規模校の通学域拡大 和市が特認校制検討
児童・生徒数が減少した地域の小中学校について、統廃合をせずに存続を図るため、和歌山県和歌山市の尾花正啓市長は24日、市立小中学校の一部に、現在の校区外からの通学を認める「小規模特認校制」の導入を目指す方針を明らかにした。導入されれば県内で初めて。同日の市総合教育会議に提案され、議論が始まった。
小規模特認校制は、児童・生徒数が減少し存続が危ぶまれる学校で、小規模の良さを生かした「特色ある学校運営」を進める場合に限り、同じ自治体内の校区外から児童を集めることが認められる制度。山間部や離島、同一市町村内に他に学校がない場合などを想定し、学校周辺の自然を教材とした教育などを掲げ、全国で導入されている。
和歌山市立小中学校(小50、中17、義務教育学校1)のうち、4小1中で全学年が単学級となり、複式学級のみの学年や、10人未満のクラスもある状況となっている。
24日午前の定例記者会見で尾花市長は、学校の適正規模、配置について、文部科学省は小規模校の統廃合を方策の一つとして示し、市でもこれまで検討はしてきたとしながらも、「地域から学校をなくさないという方向で、小規模特認校を検討したい」と述べ、早期の導入に意欲を示した。
市総合教育会議は同日午後、市役所で開かれ、尾花市長と富松淳教育長、教育委員4人らが出席。
提案では、隣接区域の希望する学校に通学できる「隣接区域選択制」も事例として示されたが、出席の委員からは小規模特認校制の検討が望ましいという意見が集中した。
委員らは「少人数だからできる教育内容、行ける修学旅行先などのメリットをもっと発信していくべき」「公立だからといって教育内容の均一を目指す時代なのか、ということが突きつけられている。他校と競争する視点があっていい」などと述べた。
導入については今後、教育委員会議などで検討していく。