「加太・淡嶋神社」の歴史と魅力
前号では、海とのふれあいを楽しめる、サーフィンとシラスの街「磯の浦・本脇」エリアの魅力を取り上げた。今週はさらに進路を北西に進め加太エリアへと進みたい。
磯の浦・本脇から海岸線に沿って進み田倉崎を経て見えてくるのが加太漁港。加太は万葉の時代から「潟見の浦(かたみのうら)」と呼ばれる景勝地。それが、加太の名の由来であるという。西に開け紀淡海峡に面した漁港には数多くの漁船が停泊。紀淡海峡は関西で屈指の漁場とされ、中でも鯛の一本釣りが有名。鯛を使った料理を提供するホテルや民宿が建ち並び、豊かな自然と食材が調和した港町として親しまれている。
港の西端に位置する淡嶋神社は、全国的にもその名が知られる。医薬の神様とされる「少彦名命(すくなひこなのみこと)」を祭神とし、婦人病や安全祈願など、女性のための神様として信仰を集める。
神社の歴史は深く、第14代天皇・仲哀天皇の皇后「神功皇后(じんぐうこうごう)」に縁があるとされる。神功皇后が嵐に遭い沈みかけた船の中で神に祈りをささげると、船の苫を海に投げその流れのままに船を進めるようお告げがあったという。船を進め、たどり着いた島が沖合にある友ヶ島であるとされ、そこに宝物などを供えたことが神社の起こりといわれている。
その後、神功皇后の孫にあたる仁徳天皇が、友ヶ島にあった社を現在の地に移し社殿を設けたとされる。現代では、雛流しの神事が有名となり、人形が並べられた拝殿は神秘的な空間となっている。
豊かな自然に恵まれ、霊験あらたかな加太の街を散策してみては。
(次田尚弘/和歌山市上空)