歴史も学べる複合施設 平井ふれあいセ開館

地域の文化会館と児童館、歴史資料室の機能を併せ持つ複合施設「和歌山市平井ふれあいセンター」が1日、同市平井に開館する。先立って3月28日にはオープニングセレモニーが行われ、市や市議会、地元自治会の関係者ら約100人が施設の完成を喜び合った。

同センターは、地域の福祉向上や人権啓発のための住民交流の拠点となる文化会館と、児童の健康増進や情操教育、健全育成などの事業を担う児童館、古墳時代の遺跡をはじめ地域の歴史を学び、文物を見学できる歴史資料室の三つの機能を併設している。

旧文化会館を取り壊し、2019~20年度に新施設の建設が進められてきた。

施工は㈱日紀建設(同市島)が手掛け、完成した施設は地上3階建て、延べ床面積約1000平方㍍。1階に歴史資料室や事務室、調理室などがあり、2階には図書室や教養娯楽室、多目的利用室など、3階には遊戯室や倉庫などを備えている。

オープニングセレモニーでは、雨の降る中、玄関前でテープカットの後、完成した施設内で式典が行われた。

尾花市長はあいさつで、地域住民の交流の場にとどまらず、市外からも歴史探訪などで人々が訪れる拠点となることを期待。コロナ禍で生活様式が大きく変わったことにもふれ、「交流の場も大きく変わる。この施設が住民らの懸け橋になり、地域に愛されることを願っている」と述べた。

市議会の奥山昭博副議長が井上直樹議長の祝福のメッセージを紹介し、楠見地区連合自治会の楠見皓生会長も祝辞を述べた。

施設名称の公募で「平井ふれあいセンター」を提案した安井賢伍さんには、尾花市長から感謝状が贈られた。

式典後の内覧会では、尾花市長が楠見、楠見西の両小学校の児童と一緒に歴史資料室を見学。平井遺跡で古墳時代に発見された埴輪(はにわ)窯の復元模型や当時の風景を再現した絵画パネルをはじめ、円筒型の埴輪のパズル、大谷古墳から出土した、馬の顔を守るためのマスク「馬冑(うまかぶと)」の複製など、古代の楠見地区を体感できる展示品の説明に、児童は熱心に聴き入った。

また、戦国時代に活躍した鉄砲集団、雑賀衆が使用していたかぶと「雑賀鉢」や火縄銃の複製、雑賀衆が拠点とし、織田信長軍との攻防を繰り広げた平井城の模型なども展示されている。

平井城の模型を制作した平井子ども会の池田清郎会長は、「福祉や人権の機能に加え、地域の歴史を知ってもらえる施設になった。出土した地域で文物が見られる意義は大きい。多くの人が来てくれるのを期待している」と話していた。

 

埴輪窯の復元模型を見学する児童ら