海南文化協会創立75周年 特集
生きがいづくりで地域に活力
創立75周年を迎えた海南文化協会(花畑重靖会長)。戦後間もない1945年10月、和歌山県下に先駆けて創立され、海南市の文化発展の拠点として、地域に根差した活動を続けてきました。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、節目を祝う盛大な式典は行わず、海南市日方の海南ノビノスで記念の短歌、俳句大会、写真コンテストの入賞者を表彰。当日の様子と、入賞作品を紹介します。
海南文化協会の活動は、万葉集に十四首が収められるなど、文化発信の地として古くから多くの人に愛されてきた海南市で花開きました。初代会長には、県美術家協会の元会長で元海南市長の明楽光三郎氏が就任。1年後には同協会の短歌部が中心となり、県歌人クラブを発足させるなど、県の文化振興に大きく寄与。文化活動の輪を広げ、地域の伝統芸能を継承してきました。
56年には美術関係者の熱意で「第1回海南市美術展」を開催。61、62年には写真部が中国の長春市と交流写真展を開き、文化を通じた友好親善を図ってきました。また、世界遺産の藤白神社、国の重要文化財温山荘園を詠む短歌・俳句大会を実施するなど心に潤いを与えてくれる文化活動を推進しています。
現在は会員約650人が所属しており、準会員を含めると約2000人。日本画や洋画、書道、茶道や華道、日本舞踊、吹奏楽、女声コーラス、大正琴、邦楽研究など多彩な部会があり、幅広い文化・芸術活動を通して、生きがいづくりにも貢献しています。
表彰式には川崎一樹市議会議長や西原孝幸市教育長らが出席。花畑会長は「海南文化協会は県内で一番歴史がある。60、70周年は盛大に式典ができたが、このコロナ禍で大変な中、何とか表彰式が開催できてうれしい」とあいさつ。
神出政巳市長も祝辞で「市の政策目標である『心豊かな人を育む』ための文化活動を、先頭に立ってけん引いただければ」と期待を寄せました。
「今こそ文化・芸術の力を」 会長 花畑 重靖
昨年10月、海南文化協会は創立75周年を迎えました。戦後、すさんだ人々の心に明るい灯火になればと、仲間が集い、わが国の復興と発展とともに、今日まで文化活動の輪を広げてきました。
60、70周年と同様、盛大に節目を祝う予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、式典や祝賀は中止としました。
コロナ禍で多くの活動が制限され、文化芸術に関わる活動も中止や延期を余儀なくされています。しかし、社会全体が閉塞感を感じている時代だからこそ、多様な価値観をもたらしてくれる文化芸術が果たす役割は大きいと思います。
ことしは和歌山県の誕生から150年を迎え、県内では第36回国民文化祭・第21回全国障害者芸術・文化祭、第45回全国高等学校総合文化祭の開催が予定されています。一日も早い感染症の終息を願うばかりです。
海南市には昨年、市民が交流できる新たな施設が完成し、益々文化向上、発展のまちへ進んでいくことに、大きな期待を寄せています。75年間、文化協会を守り育ててくださった先輩諸氏に感謝しながら、会員一同、人と人をつなぐ文化の力を結集させ、80周年に向けて歩んでまいります。