地域で役立てて 95歳の野村さんが防災倉庫
和歌山市の本町地区で地域貢献活動に長年取り組んでいる野村晴一さん(95)が、ことし1月30日に95歳の誕生日を迎えたことを記念し、自宅の敷地内に防災倉庫をつくった。野村さんは「願わんことやけど、いざというときに使ってほしい」と話し、災害が起こった際は地域のために役立つことを願っている。
倉庫内には、発電機や水を吸い上げる水中ポンプ、3升の米を炊くことができる釜とかまどなど、野村さんが買いそろえたものや元々所有していたものなど、災害に備えた道具35点ほどが収納されている。
中でもかまどは、野村さんが生まれ育った家で使用していたという思い入れのあるもの。「地域の子どもらと正月に餅つきをした思い出がある。このへっついでもち米を炊いたなあ」と振り返る。
野村さんは60年近くにわたり、交通指導員や消防団員として地域の子どもたちために活動を続けてきた。
1974年、野村さんの自宅近くで当時小学6年生の女子児童が交差点に飛び出し、車とぶつかる事故があった。その時、「車だけじゃなく子どもらも気を付けないと事故は減らない」と思い、交通ルールを伝えるために本町交通少年団を立ち上げ、長く団長を務めた。道路標識の意味や自転車の乗り方を教え、警察による交通指導の機会なども設け、地域の交通事故は減った。
後進に道を譲った今でも「団長」と呼ばれ親しまれている野村さん。100歳に向けて、夢は「電動の4輪自転車を買って乗る」ことだと言い、「のんびりしてられん。まだまだ地域のために頑張る」と笑顔で話す。
新型コロナウイルスの感染状況が落ち着いたら、自治会と協力し、地域の人たちとの防災訓練で、倉庫の道具を使ったり、かまどで米を炊いたりすることを予定している。