トンネル通行安全に 温山荘園にシェルター
和歌山県海南市船尾の国指定の名勝で重要文化財、「琴ノ浦温山荘園」の敷地内にあるトンネルの出口に今月初旬、落石防止のためシェルターが設置され、より安全に園内を楽しめるようになった。トンネルを抜けると浜辺に通じており、同園では「岩場の絶景を楽しんでほしい」と呼び掛けている。
同園は大正初期に新田帯革製造所(現ニッタ株式会社)の創業者、新田長次郎が造園。約1万8000坪の敷地で、公益財団法人琴ノ浦温山荘園が管理している。2010年、庭園は国指定の名勝に、建造物は重要文化財に指定された。
トンネルは庭園の南西に位置する矢ノ島に1915年に掘られたもので、かつて長次郎のプライベートビーチだった場所につながる。全長約38㍍の手堀りトンネルで、出口側の約20㍍部分は補強がされておらず手堀りのままの状態だった。
約3年前、トンネル内の落石により通行止めに。2019年に手堀り部分の補強工事を行い通行を再開。さらにこのほど、より安全性を確保するため、出口付近を4㍍延長しコンクリートのシェルターで補強。車いすもスムーズに移動できるように工事が完了した。
庭園内には大正初期に建てられた浜座敷や主屋、西日本随一の青石の一枚岩でできた長寿橋など見どころがたくさんあり、心安らぐひとときを過ごすことができる。ウエディングフォトを撮影する人も多いといい、田中紀生園長は「トンネルを抜けるとマリーナシティが一望できる。花嫁さんが写真を撮るにも絶好のロケーション」と話し、シェルターの完成を喜んだ。