踏切内で高齢者救出 高校教諭ら3人に感謝状
自らの危険を顧みず遮断機の下りた踏切内から高齢女性を救出したとして、和歌山北署は12日、和歌山市の3人に感謝状を贈呈。現場に居合わせた3人が連携し、救助に尽くす勇気ある行動をたたえた。
同署などによると、7月6日午後0時45分ごろ、紀ノ川駅(同市市小路)西側の踏切内で、70代の女性が自転車で通過中に転倒。見掛けた同市木ノ本の大石愛菜さん(33)は、踏切を渡り終えたところに運転していた車をとめ、救助に向かった。
対向車線の踏切前で一時停止中の車内にいた和歌山北高校の教諭、松下彰吾さん(36)はすぐに車を降り、踏切の警報機横に設置された踏切支障報知装置(非常ボタン)を押した後、警報機が鳴り遮断機が下りる踏切内に進入。うつ伏せの状態で倒れていた女性の背後から両脇を抱え、踏切外に救出し、119番通報した。
松下さんの同僚で、車に同乗していた教諭の貴志結衣さん(35)も遮断機を持ち上げ、救出に協力。救出後は、大石さんと共に踏切内に残された女性の自転車や荷物を運び出し、救急車が到着するまで女性に声掛けなどを続けたという。
この日、同署で行われた贈呈式には、松下さんと貴志さんが出席し、湊隆弘署長から感謝状が手渡された。体調不良のため欠席した大石さんにも後日、感謝状が贈られるという。
感謝状を受け取った松下さんは「電車が見えなかったので、いつ来るのか、電車が来たらどうすればいいのかを考えながら、ただ力任せに女性を救出した。1分ぐらいの出来事だったけれど、外に出せた時はほっとした」と振り返り、貴志さんは「当たり前のことをしただけ」とした上で、自身が勤める同校の生徒らにも「困っている人がいたら自ら手を差し伸べてほしいと伝えたい」と話した。
湊署長は「3人が連携し、大きな事故につながるところをとっさに身をていして救助していただき、ただただ感謝」と伝え、「自転車に乗る高齢者の転倒は多いので、十分注意してもらいたい」と呼び掛けた。