発見から100年「宮川早生」

前号では、県オリジナル品種として期待が集まる極早生みかん「YN26」を取り上げた。今週は、ゆら早生の親品種で、早生みかんとして長い歴史を持つ「宮川早生」を紹介したい。
宮川早生は1915年(大正4年)ごろ、現在の福岡県柳川市にあった宮川氏の敷地で、温州みかんの枝替わりとして発見された品種。発見から100年を超える歴史を持ち、早生温州(わせうんしゅう)の代表格として知られる。
愛媛県内においては早生温州栽培の約8割が宮川早生で、露地栽培みかんの全栽培面積の約3割を占める。和歌山県内でも栽培が盛んで、昨今は、ゆら早生やYN26を目にする機会が増えつつも、早生を代表する品種として店頭に並ぶ。
ハウス栽培されたものは6月ごろから販売が始まり、贈答品として箱に奇麗に並べられたものが見られる。極早生に比べ、果皮が黄色く、緑の部分が少ないのが特徴で、高級品として扱われる。露地物の出荷時期は11月上旬ごろからで、極早生の後に出回る。
果実の大きさは、ゆら早生と比べ、ほぼ同じかやや大きめ。果皮は手で容易にむくことができ、じょうのうは温州みかんの中で最も薄いといわれ、食べやすさは抜群。極早生よりも酸味が低く、甘味が高いことから、酸っぱさが苦手で甘いミカンが好きという方にお薦めで、子どもから大人まで幅広く親しまれる。ハウス栽培のものは1玉100円から150円程度。
早生温州の古株として日本の秋を彩る品種。極早生と食べ比べてみるのも面白い。(次田尚弘/和歌山市)