懐かしの昭和歌謡 レコードで楽しむ鑑賞会

イベントスペースの一室から聴こえてくるのは、昭和を華やかに彩った国民的ヒット曲や歌い継ぎたい名曲の数々――。和歌山市本町のフォルテワジマで、昭和の流行歌をレコードで楽しむ講座「歌は世につれ昭和歌謡」が開かれ、約20人が思い出に浸った。

イベントは、「和歌山ブルース」で知られる歌手の古都清乃の他、橋幸夫、三田明らをゲストに迎え同所で開催予定の「ぶらくり歌謡音楽祭」(10月31日)に向けた企画。昭和歌謡をテーマにした音楽祭の開催を知った同市の中村正一さん(76)が、趣味で集めたアナログレコードを役立てられないかと、イベント発案者の和歌山ブルース歌碑プロジェクトに相談し、記念講座として実現した。

講座では同市の歌手、沙門宏幸さん(66)を進行役に、歌謡曲の黄金時代である昭和30年代の名曲を紹介。当時の懐かしい映像とともに時代をひもときながら、戦後、日本人の希望の灯となった「リンゴの唄」をはじめ、欧米音楽の影響を受けた「東京ブギウギ」、第1回日本レコード大賞に選ばれた「黒い花びら」などをレコードで流した。

沙門さんは、集団就職により若者が故郷を懐かしむ「望郷演歌」が流行したこと、テレビの普及で歌手も見た目が重視されるようになったことなど、歌謡曲の変遷を紹介。坂本九の「上を向いて歩こう」がアメリカでヒットした経緯や、「舟木一夫」の名前は、当初は橋幸夫がもらう予定であったことなど、さまざまなうんちくをユーモアたっぷりに披露した。

参加者は、流れるメロディーを懐かしみ、時折口ずさみながら、楽しいひととき。同市の女性(81)は「どの曲も懐かしい。当時はテレビが珍しく、近所の人が家にテレビを見るために集まったことなど、思い出が鮮明によみがえりました。昭和はいい時代だったなぁとあらためて感じました」と満足そうに話していた。

音楽を通して昭和をひもといた

音楽を通して昭和をひもといた