20年の時経て開封へ 直川小のタイムカプセル
ことし3月に創立150周年を迎えた和歌山県内で最も歴史のある小学校、和歌山市立直川小学校で1月2日午前10時から、約20年前に埋めたタイムカプセルが開封される。当時、同校の校長を務めていた山﨑光弘さん(76)は、「成人した子どもたちや地域の人たちに会うのが楽しみ」と20年ぶりの再会に胸を弾ませながら、「一人でも多くの人にタイムカプセルを持ち帰ってもらえるよう、周知していきたい」と意気込む。
山﨑さんと共に同校で教諭を務めていた実宝慶浩さん(66)も2000年、同校が創立130周年を迎えた当時を振り返り、懐かしむ。2人は、当時の教職員や児童、地域の人にとって忘れられない出来事の一つが、新プールの竣工だったと口をそろえる。
それまでは運動場にビニール製の簡易プールがあるのみだったため、市にプール建設を依頼したが、狭い道が続く同地域では工事車両が校内に入らないという問題があり、却下に。状況を知った地域住民らが田んぼに鉄板を敷き、土を盛って道にし、工事車両を通れるようにしてくれたおかげで建設許可が下り、市が新プールを建設してくれた。
山﨑さんは、「地域の方も子どもも大喜びした」と振り返り、「もし田んぼの底が割れたら水が漏れる心配もあったので本当に勇気のある提案だった。田植えができる状態を見て、初めて終わったなとほっとしたことを覚えている」と話した。
新プール竣工とともに創立130周年記念式典を行う際、「夢のあることをしよう」との思いから、当時240人の全校児童一人ひとりの作品をタイムカプセルと、埋める際の子どもたちを撮影したビデオテープを新プール前に埋設。20年後の自分たちを夢見ながら、150周年の年に開封しようと約束した。
ことし1月2日が約束の日だったが、新型コロナ感染症の影響で1年延期。ついに20年来の約束を果たせる日を前に、旧教職員と旧互育会が協力し、ポスターなどを作って周知に努めている。当日来られない人には、同校で1年間保管する他、欠席の友人がいれば作品を届けてもらいたいと呼び掛けている。詳細は同校(℡073・461・0134)。