1年3カ月ぶり私的倒産 11月の県内企業調査
東京商工リサーチ和歌山支店がまとめた11月の県内の企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は前年同月比1件増の6件、負債総額は同25億3800万円減の2億円で、負債総額は過去10年間の11月で2番目に少なかった。
6件を負債額別にみると、5000万円未満が4件、5000万円以上1億円未満が2件。原因は、販売不振が5件、偶発的原因が1件だった。
産業別では、サービス業他が3件、農・林・漁・鉱業、製造業、小売業が各1件。地域別では、和歌山市、紀の川市、岩出市、橋本市、有田郡、西牟婁郡で各1件。形態別では破産が4件、銀行取引停止が2件で、昨年8月以来、1年3カ月ぶりに私的倒産が発生した。
同社の分析では、新型コロナウイルス関連の各種資金支援策の効果で、1~11月の倒産件数は前年同期比25件減の58件にとどまっているが、資金供給が1年以上となり、経営内容にこだわらない貸し出し実行や赤字補填(ほてん)などで過剰債務に陥った企業も多い。経済活動がコロナ禍前の水準に戻るには時間を要するとみられ、「資金支援策が倒産抑制に一定の効果をもたらしているものの、業績回復の遅れた企業は過剰な債務が重しとなり、倒産が増勢に転じる可能性は否定できない」としている。