コロナ急拡大で全員入院困難 自宅療養も

新型コロナウイルス第6波の感染者急増により、和歌山県が全国で唯一維持してきた全員入院が困難となっている。仁坂吉伸知事は18日の定例記者会見で、可能な限り入院の方針に変わりはないとした上で、ホテルや自宅での入院待機者が結果的に入院しないまま療養を終えることはあり得るとし、自宅療養の場合も県医師会との協定により、患者の健康状態の把握などケアをする体制を整えていると説明した。

県内の入院待機者は17日時点で273人。現状は、症状の有無や程度、家族構成などによる感染拡大のリスクなどを考慮して感染者のトリアージ(治療優先度の決定)を行い、入院、ホテルでの待機、自宅での待機に振り分けている。

仁坂知事は、県が17日に締結した協定に基づき、県医師会の協力による自宅療養者のケアを18日にも依頼することになるとの見通しを示し、「患者の健康のためには入院がベストだが、キャパを考えるとベストができなくなっている。残念ではあるが、現実に対応してベターなことをしないといけない」と述べた。

自宅療養者は医師が健康観察し、本人には検温や血中酸素濃度の測定などを求め、症状が強くなった場合には直ちに連絡する体制とする。

ワクチンの3回目接種については、4月4日の週までに、2回目接種済みの県内の対象者(72万3246人)の98%分のワクチンが配分される予定。今月24日の週ごろから高齢者への接種を加速化し、3月から一般への接種が行われる見通しが示された。

ワクチンの種類はファイザー社製が49%、モデルナ社製が51%。県内はファイザー社製を中心に2回の接種が進められ、3回目もファイザー社製を希望する人が多いとみられるが、仁坂知事は「できるだけ早く打った方がいい。モデルナを打つことも選択肢として考えてはどうか」と話した。

感染拡大防止に向けては、第6波のクラスター(感染者集団)発生の要因となっている集団での会食を控えることなどを改めて呼び掛け、少しでも症状があれば、無症状者向けの無料検査ではなく、医療機関を直ちに受診するよう求めた。

在住外国人への注意喚起にも力を入れ、県ホームページや外国人サポートメールで多言語対応の情報を発信している他、県国際交流センターが持つ外国人コミュニティーとの人脈を通じ、周知の依頼も行っている。

自宅療養の体制について話す仁坂知事

自宅療養の体制について話す仁坂知事