市民の会6人が意見陳述 IR住民投票条例案
和歌山市の和歌山マリーナシティにカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致する計画の賛否を問う住民投票条例案を審議する臨時市議会の総務委員会が25日に開かれ、午前は請求代表者6人による意見陳述があり、住民投票実施の意義を訴えるとともに、「実施する意義は見いだし難い」とする尾花正啓市長の意見に対し、「『住民の声など聞く必要がない』という民主主義への無理解を示すもの」などの厳しい批判もあった。
総務委で意見陳述を行った6人は、2万39筆の署名を集めて直接請求を行った市民団体「カジノ誘致の是非を問う和歌山市民の会」の請求代表者の一部。
藤澤衛さんは、直接請求について「住民の権利であり、住民投票で市民の意見を反映させることが民主主義と住民自治の基本」と述べ、署名期間の1カ月は署名集めの受任者が増え続けるなど、多くの市民に関心を広げたことを話した。
坂本文博さんは、カジノの売上は「来訪者がギャンブルで負けることによって生み出されるお金」だとし、IRから県への納付金について「公益を目的とする地方公共団体の施策として正しいのか」と疑問を呈した。
池田香弥さんは、署名活動の中で聞いたIR誘致への賛否両方の声を紹介し、「2万人を超えた市民が一致したのは、住民投票で民意を聞いてほしいということ」だと、住民投票の実施を訴えた。
南本禮子さんは他の市民の会メンバーの声も紹介しながら、「市議には市民の思いを受け止め、判断を願う」と述べた。
島久美子さんは、市が2017年2月にIR誘致を正式に発表していながら、尾花市長がその後の18年7月の市長選の選挙公報でIRに触れず、今回の住民投票に反対の意見を示したことに疑問を投げ掛けた。
弁護士の豊田泰史さんは、条例案に住民投票の成立要件となる投票率の規定がないことを巡り、24日の本会議で市が「投票率50%以上を成立要件とする条例が多い」と答弁したことについて、住民投票条例を常設している自治体のケースであり、今回のような個別型とは異なると指摘。成立要件を設けると、投票を開封せずに無効とし、住民の声を聞かないことが起こり得るとし、「成立要件を加えるのは不相当」と述べ、要件を設ける場合でも、直近の市長選の投票率が約31%であることから、30%以内にとどめるべきとした。
条例案の審議は午後に持ち越された。