和歌浦をアートで彩る 新たな観光資源へ
和歌山県有田市の現代美術家の伊藤彩さん(34)が、和歌山市観光協会主催の「アートで結ぶ和歌山市」の一環で、同市新和歌浦の国民宿舎「新和歌ロッジ」の外壁の壁画制作に取り組んでいる。
イベントなどを手掛ける同市の中谷一陽さん(40)によると、同企画は新たな観光資源をつくり出し、観光客の滞在期間の長期化や観光誘客を目指す。エリアを変えて10年計画で壁画を描く。
第一弾として今月28日までに、和歌浦地区8カ所と伊藤さんが手掛ける同壁画、計9カ所の完成を予定している。
県内外からアーティストを公募し、伊藤さんは招待作家として参加している。
伊藤さんは有田市にアトリエを持ち、油絵を中心に創作。2021年度、県の文化奨励賞を受けた。創作する上で大切にしているテーマは「無意味」だといい、「何かを伝えたいよりは見た人が、思わず笑ってしまうような作品をつくっていきたい」と話す。
今回、伊藤さんが担当する壁画は、和歌浦漁港から海岸通りを西に向かいトンネルを抜けてすぐ右側の外壁。縦2・5㍍、横8㍍の壁にアシスタント3人と共に制作している。
1日から取り掛かり、この日は海辺で採集した石やガラス片を漆喰(しっくい)を塗った箇所に貼り付けていった。色は塗らず素材の色だけでつくり上げる。伊藤さんは「海を感じるような和歌浦っぽさをイメージした。出来上がりを楽しみにしてもらえたら」と笑顔で話している。完成は10日ごろを予定。
今後、観光遊歩道や和歌浦漁港の壁などにも描かれる。