災害時の食料確保で協定 医大が廣甚と
和歌山市紀三井寺の県立医科大学は1日、南海トラフ巨大地震などの災害時に職員の食料や日用品を優先的に調達するため、県内中心にスーパーを運営する湯浅町の「エバグリーン廣甚(ひろじん)」と協定を締結した。災害関連で事業者と協定を結ぶのは初めて。
県によると、南海トラフ巨大地震が発生した場合、県内の死者は最大で約9万人、避難者は約44万人と想定される。同大の付属病院は県内の病院を指導する基幹災害拠点病院の役割を担う。災害発生から3日分の食料は既に備蓄済みだが、その後も物流が滞った場合でも付属病院の機能を維持できるように、エバグリーン社からの供給を決めた。全職員の6割に当たる約1700人が災害時に参集すると想定している。
式には宮下和久学長とエバグリーン社の米原まき社長が出席。宮下学長は「食料などを優先的に供給できる態勢は本学、病院ともに心強い」と締結に感謝を示した。医療機関との災害協定が今回初めてとなる米原社長は「(南海トラフの被害想定を考えると)災害に備える意識を高めることが必要で、最善の努力をしていきたい」と述べた。
協定によると、エバグリーン社は同大からの要請に基づき、飲料水や缶詰、即席麺などの食料品の他に、スーパー運営の強みを生かしたトイレットペーパーや医薬品などの日用品も供給。県北部の施設と近くに新設予定の二つの物流センターから配送する。今回の協定では、医療ボランティアに参加する以外の学生は対象外。入院患者の給食は、担当業者と安定的な確保を申し合わせている。