わかやまJICA応援団10周年 北岡理事長が来県し講演

独立行政法人国際協力機構(JICA)が進める海外協力隊活動を支援している「わかやまJICAボランティア応援団」(樫畑直尚会長)は14日、10周年記念講演会を和歌山市の和歌山大学とダイワロイネットホテル和歌山で開いた。JICAの北岡伸一理事長が来県し、世界の安定と日本の国益に資する国際協力の意義や活動の事例を語った。

同応援団は、県出身や在住のJICA海外協力隊員の活動を応援し、帰国した隊員の貴重な経験を地域社会で生かすことなどを目的に2013年4月に設立。隊員への県産品などの応援セットの贈呈、隊員家族の支援、帰国後の隊員の就職支援、学校での出前授業の開催、国際協力活動の啓発などに取り組んでいる。

記念講演会は、和歌山大に会場とオンラインで計約200人、同ホテルに約60人が参加した。

北岡理事長は、国益とはその国の独立、自由、安全、繁栄、よき伝統の維持だとし、そのためには、国際紛争が武力ではなく平和的な話し合いで解決され、自由貿易が行われる体制の維持が極めて重要であり、開発途上国の発展、安定に資する国際協力は日本の国益に大きな意味があると強調。

東南アジアの民主化や発展に貢献した日本の政府開発援助(ODA)の実績を挙げた上で、日本のODAは経済協力開発機構(OECD)の目標である国民総所得(GNI)比0・7%に達していないことから、増やすべきと訴えた。

JICAの活動については、「信頼で世界をつなぐ」をビジョンに掲げ、各国と対等の立場でじっくりと話し合い、課題解決に向けて地道な支援を続けているとし、ウガンダの国会がJICAに感謝の決議を行ったことなど、高い評価を受けていると紹介。「閉ざされたマインドでは日本はやっていけない。日本自身が世界に開いていく取り組みを、地方と協力して進めていきたい」と述べた。

樫畑会長は、同応援団の設立、これまでの活動への協力に感謝し、「一人でも多くの協力隊員を和歌山から発掘し、応援し、県民の理解を深める努力を今後も続けていきたい」と話した。

 

講演する北岡理事長