エースの投打で8強 市和歌山アルプス熱狂

第94回選抜高校野球大会(阪神甲子園球場)は8日目の27日、市和歌山が2回戦に臨み、エース米田天翼(つばさ)の1失点完投とサヨナラ打の活躍で、明秀日立(茨城)に2―1で勝利。2019年以来、3年ぶりのベスト8進出を決めた。

【2回戦】

明秀日立
市和歌山 1x

〔明〕猪俣―伊藤〔市〕米田―松村▽二塁打=本坊(明)米田(市)

市和歌山は1点を先制された直後の6回、4番寺田椋太郎が2死一、三塁から同点の左適時打。そのまま迎えた9回、好投を続けてきた米田が1死一、二塁でサヨナラ二塁打を放ち、自らのバットで試合を決めた。

大会9日目、28日の第4試合では、65年以来(当時は市和歌山商)、57年ぶりのベスト4進出を懸けて大阪桐蔭と対戦した。

アルプス席から米田投手(3年)を見守った父・隆英さん(51)は、「要所を抑えている。前回より肩の調子が良いと言っていた。ストレートは走っていて、相手も当てるだけのバッティングを強いられている」と、息子の好投に目を細めた。

6回表に1点を許したが、その裏、好機が訪れる。4番寺田選手(3年)の母・しおりさん(33)は試合前、息子に電話で「肩の力を抜いて」と伝えていた。緊迫の場面で打席を迎えた寺田選手が同点の適時打を放つと、しおりさんは大興奮。「点が入って良かった」と喜びが収まらない様子だった。

両チーム譲らないまま迎えた9回裏、ドラマは待っていた。米田投手が振り抜いた打球は右中間を割り、二塁から森大輔選手(3年)が本塁に生還。投打で試合を決めた米田投手に隆英さんは「よく決めてくれた。肩の力が抜けました」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。

サヨナラの場面で米田投手を見守る父の隆英さん

サヨナラの場面で米田投手を見守る父の隆英さん