救急出動は704件増 和歌山市消防21年統計
和歌山市消防局は2021年中の火災・救急・救助出動の状況をまとめた。このうち、救急出動件数は1万8925件(前年比704件増)で、搬送人員も1万7335人(同803人増)といずれも増加。一日平均51・8件の救急出動で、市民の20人に1人が搬送された計算となる。
事故別に救急出動件数をみると、「急病」が1万1959件(63・2%)でトップ。「一般負傷」が2983件(15・8%)、「交通事故」が1671件(8・8%)と続き、上位3種で87・8%と大半を占めた。
搬送者の年齢は、65歳以上の高齢者が63・6%と過半数を占め、搬送した傷病者の程度は「軽症」59・8%、「中等症」34・9%、「重症」3・7%、「死亡」1・6%だった。
救急隊の現場到着までの平均時間は前年より5秒遅い7分51秒、医療機関収容までの平均時間は31秒遅い33分52秒だった。10年前(2011年)と比べると、現場到着は1分9秒、医療機関収容は7分58秒遅くなっている。
傷病者1人に対する搬送医療機関への問い合わせ(交渉)平均回数は1・34回。重症以上の場合は、1・11回とスムーズな受け入れとなっているが、事例によっては11回問い合わせを行うケースもあった。
救命率の向上や後遺症の低減を目的に救急救命士が行った、心肺停止前の重度傷病者への処置では、血糖測定51件、低血糖発作症例に対するブドウ糖溶液の投与19件中、17件で意識状態の改善が認められた。ショック状態の人への静脈路確保と輸液は23件行い、2件で血圧の上昇や意識状態の改善があった。
救命などの普及講習は152回実施し、参加者は3597人。1996年からの普通・上級救命講習の延べ受講者数は約7万5000人となり、市民5人に1人の割合で受講したことになる。
心肺停止状態で搬送した傷病者は415人で、心肺停止の原因が心臓による人が225人。このうち76人は市民(家族や同僚など)の目撃があり、45人が市民による応急手当を受け、5人が社会復帰に至った。
医師が救急車に同乗するドクターカーの運用状況は、出動が212件(前年比71件減)、搬送人数が123人(同155人減)と大幅に減少した。
件数減も死者増 火災の発生状況
火災の発生件数は77件で前年より10件減少した一方、人的被害は死者が8人増の12人、負傷者は8人増の16人、損害額は1億2464万3000円で7497万7000円の大幅増となった。
死者が発生した火災の種別は、建物火災が11人、その他の火災が1人。火災の発生を原因別にみると、「たき火」が14件で最も多く、次いで「たばこ」10件、「電気機器」9件と続く。住宅火災(共同住宅など含む)26件中、住宅用火災警報器の設置が確認できたのは6件で、このうち5件は警報機のおかげで大きな火災には至らなかった。
市消防局は、住宅用火災警報器の設置推進とともに、10年を目安に取り替えを呼び掛けている。