こだわりのトマトが金賞 野菜ソムリエサミット
日本野菜ソムリエ協会が主催する農産品の品評会「野菜ソムリエサミット」で、㈱紀の川トマトファーム(和歌山市西浜、東宗弘社長)のこだわりトマト「ト・マーレ」が5月度の青果部門で金賞に選ばれた。試行錯誤を重ねて確立した独自の栽培方法から生まれる高品質のトマトが評価された。
野菜ソムリエサミットは、農産物の価値向上と農業の活性化を目指して毎月開催。青果部門と加工品部門があり、「ト・マーレ」は5月度の青果部門金賞4品の一つに選ばれた。
同社は昨年12月に設立。和歌山市で建設業を経営し、農業にも関心が高い東社長が「貴志川ファーム」(紀の川市貴志川町岸宮)の田村尚之さん(36)と出会い、ことしの2月から共同で運営している。東社長は田村さんが作るトマトの味と栽培に懸ける思いにほれ込み、一緒に農業をしようと打診。最初は難色を示していた田村さんだったが、東社長の熱意に心を動かされ、思いを一つに取り組むことを決めた。
商品名の「ト・マーレ」は、トマトの「ト」にイタリア語で「海」を意味する「マーレ」を組み合わせたもの。田村さんが作るトマトは、カツオやマグロ、昆布といった海の恵みを煮汁にし、肥料に利用している。
350坪のハウスでは、「水平放任栽培」と有機肥料を組み合わせた珍しい栽培方法を採用。トマト農家歴14年の田村さんが試行錯誤を重ねてたどり着いた方法で、トマトの本数を減らして光合成を促すとともに、木に適度なストレスを与えて実にしっかりと栄養を蓄えさせる。「量より質」を重視し、田村さん自身が「おいしい」と納得できるものを消費者に届けるとしている。
同社によると、「ト・マーレ」は、ストレスの軽減や血圧の低下などが期待される栄養素「GABA(ギャバ)」(ガンマアミノ酪酸)が100㌘当たり約150㍉㌘含まれ、通常のトマトの30~35㍉㌘に対して4~5倍。うまみと甘味が濃く、深い味わいが魅力という。
野菜ソムリエサミットの審査員からも、「かつおだしのような濃いうま味からのまったりとした甘味は個性的」「焼くと調味料を加えた完成されたトマトソースのような味わい」と高評価を得た。
同社の執行役員副社長と生産管理責任者を務める田村さんは「こだわりの部分が評価されたことに喜びを感じる。より多くの人に知ってもらい、食べてもらえたらうれしい」と話している。
同社は「日本一おいしいトマトと呼ばれるように」と目標を掲げ、香港やシンガポールなど東南アジアの富裕層への販売を実現したいとしている。「ト・マーレ」は産直通販サイト「食べチョク」で購入できる。