ロボカップジュニアW優勝 向陽中・高
京都で4月に開かれた「ロボカップジュニア・ジャパンオープン2022けいはんな」で、和歌山市太田の県立向陽高校物理部ロボット班「Remember」と、同中の理科部ロボット班「DeguDegu“s」が初のダブル優勝を果たした。Rememberはレスキューライン部門の日本代表として、7月にタイで開かれる「ロボカップ2022バンコク世界大会」への出場を決め、世界に通用するロボットを目指して改良に励んでいる。
「ロボカップジュニア」は自律型ロボットによるサッカー、レスキュー、オンステージの3部門で競うロボットのコンテスト。各地のブロック大会を勝ち上がったチームが出場でき、Rememberは関西代表として、世界大会につながるワールドリーグのレスキューライン部門に出場した。
レスキューリーグでは、被災地を模したコート上にロボットを走らせ、ロボットが自ら周りの状況を判断し、被災者に見立てた球を見つけるなど、さまざまなミッションをこなしていく。1回の制限時間は8分で、3回ロボットを走行させ、総合得点で順位を競う。
同校2年の岸田健吾さん、團栗(だんぐり)良太さん、吉川優冴(ゆうが)さんの3人からなる同チームは約半年間、あらゆるシチュエーションに対応できるようロボットの改良を重ねてきた。
中1の頃から毎年同大会に出場してきたという部長の岸田さんが「これまでの経験で得たライントレースのノウハウを全て生かした」と話すほど工夫の成果がしっかりと表れ、安定した精度の走りで得点を重ねた。
2走を終えた時点で暫定1位。最終走を翌日に控えた夜も、チーム一丸となって「首位を守るためにすべきこと」をひたすら考えた。最終日、3走を終えて悲願の優勝が決まった時には「ほっとした」と笑顔で振り返る。
物理部の合田直人顧問は「生徒自ら課題を見つけて目標に向かって取り組んできたことが、一つひとつ確実にクリアしながら得点を稼げるロボットづくりにつながった」とたたえ、同校にとっても初の世界大会出場を喜ぶ。
團栗さんは「うまくいかないときの苦しみが大きい分、後に返ってくる喜びも大きい」と同競技の魅力を語り、「できることを全てやって世界に臨みたい」と意気込む。岸田さんは「世界大会にはすごい技術を持った人が集まるので、より進んだ技術を学び、できるだけ高い順位で一つでも賞を取れれば」と話し、世界大会仕様のアームに変更するなど、ロボットの改良に力を注ぐ。
日本リーグで優勝したDeguDegu“sの2人、同中3年の南悠大さんと辻唯人さんは世界に挑戦する先輩らに対し、「自分たちの目標も大きくしてくれる、ありがたい存在」と尊敬のまなざしを向け、「積み上げてきたものが全て結果に出ると思うので、世界大会を楽しんできてほしい」と熱いエールを送った。