総電力50%再エネ化 化学メーカーのセイカ

脱炭素社会の実現に向け、政府が2050年までに温室効果ガスの排出量「実質ゼロ」を目指す中、和歌山県内の企業でも環境への負荷を低減しようと、使用電力を太陽光や風力といった「再生可能エネルギー」由来に転換する動きが加速している。和歌山市南汀丁の化学メーカー・セイカ㈱(竹田純久代表取締役社長)も全工場の電力の50%を再生エネ由来に切り替えた。

1955年創業の同社は現在、航空機の機体やスマートフォンの半導体に使用する芳香族ジアミンの世界トップメーカーとして、高機能性ポリマー原料の製造・販売を中心に展開。

同市と海南市に4カ所ある同社全工場(海南工場・和歌山工場・小雑賀工場・南陽工場)は、年1回の整備期間(約1カ月)を除き、24時間稼働している。製造過程で使用する機械の種類や工程も多く、必要となる年間電力総使用量は、本社と全工場の5カ所合わせて2400万キロワット時。ことし1月からは、そのうちの約半分に当たる1200万キロワット時を再生エネ由来に切り替えることで、企業全体として環境負荷低減を図っている。CO2排出削減効果は年間約3700㌧を見込んでいる。

同社は創業以来、社是の一つ「安全」、「健康」、「環境」に配慮した取り組みを積極的に実施。環境問題を経営の重要課題と位置付け、県の森林環境保全活動「企業の森」に継続的に参加している。また一般家庭約750軒の年間消費量相当を発電する県内最大級の大規模太陽光発電所(面積2万7000平方㍍)を設置するなどしてきた。

主力の海南工場では、重油などに比べCO2排出量が少ない液化天然ガス(LNG)を燃料としたボイラーに切り替える環境負荷低減に向けた大規模な設備投資も実施。2021年7月には、社内に専任の統括部署「安全・環境室」を開設した。メンバーは元製造部長や化学物質の専門知識を持つ従業員など各分野に精通した社員4人で構成し、化学物質の安全管理や環境への取り組みのさらなる強化を図っている。

同部署では、これまで各工場単位だった電力管理を一元化し、会社全体の総使用電力量を把握。いかにエネルギーを使わないように効率よくするか、何をどこまで削減できるのか思案する中で、設備など初期投資が不要で、比較的すぐに取り組める関西電力の「再エネECOプラン」を導入した。通常の電気に比べ、やや割高ではあるが、今後もより100%に近づけるよう、更新のタイミングで割合を見直していくという。

同室担当の串均常務取締役(69)は「できるところから着手していこうと。これで満足している訳ではなく、これをきっかけにさらに積み重ねていきたい」と話す。中村誠室長(49)は「今後は2030年度までの目標数値を出し、長期的な計画を立てることで、より環境負荷のないようCO2削減に取り組んでいく」と力を込め、会社全体でさらに環境負荷低減に向けた施策を模索し、挑戦していくという。

再生エネ由来に切り替えた工場の一つセイカ海南工場(セイカ提供)

再生エネ由来に切り替えた工場の一つセイカ海南工場(セイカ提供)