旧東山東農協事務所など 国登録文化財に

和歌山市山東中の旧東山東農業協同組合事務所、かつらぎ町東谷の堀越癪観音庫裏(ほりこししゃくかんのんくり)、湯浅町湯浅の旧堀田茶舗(立石茶屋)の3カ所、5件が、国登録有形文化財に新規登録される。国の文化審議会(佐藤信会長)が22日、文部科学大臣に答申した。今回を含めて県内の国登録有形文化財は116カ所、316件となる。

旧東山東農業協同組合事務所は、和歌山市南東部の農業が盛んな山東地区にある農協の旧事務所。1948年に建設され、65年以降は住宅として使用された。2021年に改修され、現在はNPO法人さんどうが運営する地域交流拠点「まんなか」として活用されている。

建物は半切妻(きりづま)造り、瓦ぶきの2階建て。1階を事務室、2階を広間や電話交換室、放送室などに使用していた。農協事務所当時の様子をよく残し、農村のにぎわいを今に伝える貴重な建物となっている。

堀越癪観音は大阪府との県境に近い山間部に位置する葛城修験の行所(ぎょうしょ)の一つで、日本遺産「葛城修験」の構成文化財でもある。傾斜地に築かれた敷地に本堂、庫裏、客殿がある。

庫裏は平屋建て、入母屋(いりもや)造り、かやぶきで、江戸末期に建設された。内部は、西側に広い土間、東側に6室があり、東側と南北二面に縁側を巡らせた農家風の建物。2021年には屋根のふき替えや床組の修理などが行われ、良好な状態で現在も使われている。

旧堀田茶舗(立石茶屋)は、かつて茶商だった堀田家の店舗兼住宅で、熊野街道と深専寺参道との四つ辻の北東角に位置する。登録されるのは、店舗、座敷棟、土蔵の3件。

堀田家は明治期から肥料商などを営み、大正期には堀田孫三郎が湯浅町長を務め、戦後は茶商に転業した。2006年に町が建物を公有化し、改修を経て現在は休憩所として活用されている。

店舗は平屋建て、瓦ぶき、江戸末期の建設。外部は軒をしっくいで塗り込め、小さな窓がある。内部は通り土間と2室で構成する。

座敷棟は店舗の背面に接続し、2階建て、寄棟(よせむね)造り、瓦ぶきで、1934年に建設された。銅板張りの外観が特徴的で、内部は1階に数奇屋(すきや)風和室、2階に洋室を設けている。

土蔵は江戸末期に建設された商品蔵で、店舗、座敷棟と併せて四つ辻の歴史的景観を形成する貴重な建物といえる。

旧東山東農業協同組合事務所(県教育委員会提供)

旧東山東農業協同組合事務所(県教育委員会提供)

堀越癪観音庫裏(県教育委員会提供)

堀越癪観音庫裏(県教育委員会提供)

旧堀田茶舗店舗(県教育委員会提供)

旧堀田茶舗店舗(県教育委員会提供)