糖度で等級付けも「清水白桃」
前号では、桃の代表格として知られ、さまざまな味わい方が楽しめる「白鳳」を取り上げた。今週は白鳳と並んで名が知れた「清水白桃」を紹介したい。
清水白桃は1932年に岡山県で発見された品種。「白桃」と「岡山3号」が植えられた農園で、成熟が早い偶発実生とされる。名前の由来は、発見された農園があった「芳賀清水」という地名であるという。
果実の重さは250~300㌘程度。赤みが少なく乳白色をしている。食してみると果汁が豊富で、滑らかな口当たり。酸味が少なく上品な甘みが特徴。
農水省統計によると、栽培地(栽培面積)の第1位は岡山県(66・6%)、第2位は和歌山県(22・8%)、第3位は大阪府(3・9%)。
栽培面積第1位の岡山県では、清水白桃のブランド化戦略が行われている。出荷前に光センサーを用いて糖度をチェックし、糖度が高い順に、「ロイヤル」「キング」「エース」「加工用」と、四つの等級等級が付けられている。
ロイヤルは糖度12度以上の最高級品で、贈答用として1玉1000円以上の値で取引されている。キング(糖度11・5度以上)も贈答品として使われることが多く、エース(糖度10・5度以上)は手頃な価格で主に家庭用として親しまれている。
桃は見た目では味の判断が難しいが故に、その出来栄えを客観的な指数を用いて消費者に分かりやすく提示する取り組みは、安心につながると同時に、桃そのものの価値を上げるものとなっている。
清水白桃の旬は7月下旬から8月上旬ごろ。ことしの旬は過ぎたが、岡山県産の等級付きのものが手に入れば、その味わいを和歌山県産のものと比較してみるのも面白そうだ。
(次田尚弘/和歌山市)