倒れた男性を救命 和市消防局が2人表彰

和歌山市消防局は8月30日、仕事中に突然倒れた同僚の男性を救助したとして、橋本市の会社員、佐田光弘さん(51)と、佐田さんに的確な口頭指導を行い、救命に貢献したとして和歌山広域消防指令センター員の瀧川大登(だいと)さん(27)の2人を表彰した。

佐田さんは6月6日、和歌山市次郎丸の酒店で作業中に同僚の男性(58)が突然倒れたのを知り、駆け寄って容態を確認。脈は打っているようだったが、無呼吸症のような呼吸だったことから、別の同僚がすぐに119番通報をした。

受報した指令センター員の瀧川さんの口頭指導のもと、電話を代わった佐田さんは救急隊が到着するまでの間、指示通りに胸骨圧迫(心臓マッサージ)を継続して実施した。

また、瀧川さんは場所の特定から状況や男性の意識、呼吸などを確認し、胸骨圧迫の指導へとスムーズに移行。容態変化について適宜確認しながら、佐田さんに絶え間ない口頭指導と励ましの声掛けを続けた。

男性は、現場に駆け付けた救急隊によって病院へ搬送された後、数日間は意識が戻らなかったが、現在は完全に社会復帰しているという。

表彰式は同市八番丁の消防局であり、吉野楠哉局長は「一刻を争う緊迫した状況の中で実に冷静に対応していただき、胸骨圧迫までのスムーズな指導のおかげで一命を取り留められ、完全に社会復帰された」と2人をたたえ、表彰状を手渡した。

佐田さんは当時を振り返り、別の同僚が通報している際、自身は救急車が来た時のためにスペースを確保していたといい、初めての状況に優先順位を誤ったと後悔。男性の意識が戻るまでの数日間は、後遺症の心配とともに「スタートが遅れた」と毎日自責の念にとらわれていたという。その後、意識を取り戻した本人から電話があったときには「とにかく良かった」と胸をなで下ろしたと笑顔。

瀧川さんは通報者側のパニックを察して、あとどれぐらいで救急車が到着するかなど、安心材料となる道しるべを伝えることで不安を取り除けるよう意識しているとし、「今後もしっかりと対応していきたい」と話した。

 

表彰状を手に佐田さん㊨と瀧川さん