内閣総理大臣表彰 和歌山市の松江地区防災会

和歌山市の松江地区防災会(会長=川口敏夫同地区連合自治会長)が、2022年「防災功労者内閣総理大臣表彰」に選ばれた。地区防災計画に基づく大規模防災訓練の継続的な実施など、20年以上にわたる取り組みが高く評価された。13日に東京都内で表彰式が行われ、14日には川口会長ら役員が市役所を訪れ、尾花正啓市長に受賞を報告した。

同表彰は、防災活動の実施や防災体制の整備、防災意識の向上などに貢献し、特に顕著な功績が認められる個人や団体に贈られるもの。同防災会は、21年の「防災功労者防災担当大臣表彰」も受けており、2年続けての栄誉となった。

松江地区には約4100世帯、9200人が暮らす。防災会は2000年6月に発足し、地区防災計画に基づいて、地区の防災力や住民の防災知識の向上を図るため、防災・減災マニュアルの作成や防災訓練の実施など地道な活動を続け、安心・安全に暮らせるまちづくりに大きく貢献してきた。

特に、毎年11月上旬に行っている防災訓練は、約1000人の住民が参加する大規模なもので、南海トラフ巨大地震などを想定した避難行動、初期消火、応急手当、食事や水の提供などの内容を盛り込み、災害時に必要な行動を住民が体験できる大切な機会を提供している。

川口会長(74)は今回の受賞を「先輩たちのご指導のおかげ。地域間、住民間のつながりが良い、松江地区のチームワークだと自負しています」と話す。

子どもたちの登下校を見守る「お帰りパトロール隊」をはじめ、学校などを巻き込んだ幅広い世代の住民のつながりが防災会の活動の背景にあり、「何をするにもスムーズに協力してもらえるので、とても助かっています」と川口会長。

防災会の活動を始めた先輩住民の功績を強調する川口会長に対し、防災会を設立した前連合自治会長の川崎敏弘さん(84)は「活動を守り、引き継いでくれた皆さんのおかげで、ここまで発展しました。感謝しています」と語る。

防災会では、地区内の各自治会でも防災計画を策定する取り組みを進めており、地域の特性を踏まえた、よりきめ細かい備えを進める。

市役所には川口会長と5人の副会長が訪れ、地区での取り組みや表彰式について報告。尾花市長は、長年にわたる同会の地道な取り組みが高く評価された受賞だとたたえた。

表彰状を手にする川口会長(左から3人目)と尾花市長(中央)、副会長の皆さん(和歌山市提供)

表彰状を手にする川口会長(左から3人目)と尾花市長(中央)、副会長の皆さん(和歌山市提供)